[続四国・食べ物民俗学]

現代に生きる食べ物と食習俗
続四国・食べ物民俗学
近藤日出男
A5判・230p/カラー16p
¥1600+税

人の営みと密接な関わりを持つ食べ物。
縄文時代から現代まで続く食習俗や、
世界とつながる食べ物のルーツから、
四国各地の歴史と民俗が見える。

 名著「四国・食べ物民俗学」に続く第二弾。昭和30年代、幻の稲といわれた香稲(匂い米)を発見した著者は、研究のため四国山地の各地に分け入り、踏査した。するとそこには、焼き畑作物や縄文時代から伝えられてきたドングリ・トチなどの木の実を加工して食べる習俗、ヒガンバナの球根をアク抜きして食べる方法などが残されていた。
 そうした食習俗の調査は瀬戸内の島々や四国各地の里村にも及び、人々の暮らしや歴史、風土と結びついたいくつもの魅力的な食べ物がここに登場した。

四国各地で縄文時代から食べられてきた焼畑作物や野菜は、昭和四十年代に焼畑が禁止されたことにより、大半のものがなくなってしまった。社会状況の変化により、食文化の伝承が途切れてしまったことも、それに追い打ちをかけた。
しかし、山里や海辺の村では形を変えて生き残ったものがいくつか見られる。人々のたくましさが、新たな民俗や習俗をつくっているのである。

■山村の食べ物
アワ……………………………… 米が渡来する以前の常食
ムギ……………………………… 米食は一部の非農家、大半はご飯といえばムギだった
雑穀……………………………… 主食からおやつ、現代は健康食として見直される
ヤマノイモ……………………… 縄文時代にもたらされた芋栽培文化
山菜……………………………… 山里のめぐみが豊かな食生活をつくる
ゼンマイ………………………… 山人たちが栽培し、生計を立てる山菜
シオとアズキ…………………… 山に通じる「塩の道」と、米と交換したアズキ
イノシシ………………………… 人間にとって身近な存在のケモノ
クリ……………………………… 四国各地のびっクリ話  
茶………………………………… 全村無農薬のお茶づくり  
イワタケ………………………… 岩壁で、気の遠くなるような時間をかけて成長
ヌルデ(フシノキ)…………… 実から塩を取り、樹液は塗料用に使われる
ウドン…………………………… 良質の小麦、塩、イリコ、醤油が揃ったウドン王国 
スダチ…………………………… 山里の代表的柑橘類ユズ、スダチ
サツマイモ……………………… 各地のサツマイモから伝来ルートを推理する
シトギダンゴ…………………… 臼が発達していなかった古代の米の食べ方
幼虫……………………………… 石鎚山系の山村に残る幼虫食
香辛料…………………………… 和製スパイスも、元は渡来もの
ニンニク………………………… 高知の食と結びついた利用法

■里村の食べ物
シイ……………………………… 縄文時代から食べられてきた木の実
カキ……………………………… カキは甘いか、まだ渋いか
アユとアカメ…………………… 香魚から駄魚となるアユ、幻の魚アカメ
サワガニ………………………… 「ダシ」にし、団子にし、ミソにして食べるカニ
サトウキビ……………………… 昭和二十三年まで作られた在来糖
湧き水…………………………… さまざまなエピソードを持つ四国の湧き水
ニワトリ(土佐ジロー)……… 地鶏を活かした、卵も肉も旨いトリ

■海村の食べ物
煮干し(イリコ)……………… ダシ用、魚醤用、肥やし……さまざまに使われた小魚
クジラ…………………………… 瀬戸内海に来たクジラの話
ヒジキ…………………………… 海の野菜を食べる島人の知恵   
カマボコとエビテン…………… エビを材料に、さまざまな練り物が誕生
フグザク………………………… 企業城下町で生まれたフグ料理
アツケシソウ…………………… 塩沼地でたくましく生きる植物

 

近藤日出男 Hideo Kondo

1926年 愛媛県四国中央市土居町北野に生まれる
1948年 京都繊維専門学校(現京都工芸繊維大学)卒業
1951年 国立岡山大学大学理学部生物学教室教官
1961年 高知県で高等学校の教師となる
     国立遺伝学研究所変異遺伝部・大阪府立大学農学部育種学教室国内留学
現在、愛媛民俗学会会長 四国・日本民俗学会会員 
愛媛考古学協会会員 宇摩史談会顧問 
伊予史談会会員 グレース学園理事 愛媛県生涯学習推進講師
日本生物教育会賞(銀賞)受賞 高知県高校教育振興会賞受賞

著書
『何を食べてきたのだろう』高知新聞社
『まぼろしの稲を訪ねて』日本図書刊行会
『四国・食べ物民俗学』アトラス出版(愛媛出版文化賞受賞)

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