四国電力新居浜支店での講演から

”タバコと発がん−最近の話題-”

− 平成9年11月20日(木) -

1.はじめに 5.禁煙の効果
2.ある老人の例(タバコの中毒性の恐ろしさ) 6.具体的な禁煙対策例
3.コホ−ト調査 7.タバコ行動計画
4.タバコの煙に含まれる発がん物質と発がん性 8.おわりに

1.はじめに

ご紹介いただきました真鍋でございます。
 本日は健康講座でお話しする機会を与えていただき、その上、ただ今は、過分なご紹介を賜り有難うございました。私をご推薦くださいました井石澄雄先生はじめ関係者の方々、また、ご参会の皆様方に心から感謝申しあげます。

平成2年の10月、私はこの会でお話しさせていただいたことがございます。前回のテーマは、確か「喫煙習慣と成人病」でございました。

冒頭で、「タバコを吸うと頭のテッペンから足の先まで良いことはない、タバコに安全な吸い方だとか、安全な量などはない、タバコを吸うこと自体が健康に害を与えるのだ、その中でも、タバコが成人病を来す悪の三役の一つである」とお話ししたことを思い出します。

あれから、ちょうど7年が経過いたしました。その間、たばこを取り巻く社会環境は大きく変わりました。

ご承知のように、本年6月に出た厚生白書に、「喫煙は多くのがんと深い関係がある」と明記されました。これは“公”、“おおやけ”が、たばこの発がん性をやっと認めた画期的な報告であります。

「やっと認めた画期的な報告」と言いましたが、厚生省はこれまで、たばこ販売の大元締めである大蔵省に遠慮してか、学問的に証明された“たばこの発がん性”について、なかなか公式に認めようとしなかったのであります。

今回の白書で、もう一つ注目すべき点は、従来の“成人病”を、新しく“生活習慣病”と呼ぶこととしたことです。

その中で、次のように述べています。

●がん、脳血管疾患、心疾患は死因の第1位から第3位を占め、平成7年には50万人以上、全死亡のうち6割以上がこれらの疾病により死亡した。
●これらの疾患への対策としては、従来の「早期発見・早期治療」ばかりでなく、健康増進や疾病予防という「一次予防」が重要であり、このためには、個々人の生活習慣の改善が鍵である。特に、生活習慣の身に付く子ども時代に健康的な生活習慣の確立を目指すことが大切である。
●喫煙が健康へ与える影響は大きい上、受動喫煙の危険性を踏まえると、喫煙習慣は個人の嗜好にとどまらない健康問題であり、たばこ対策の一層の推進が必要である。

一方、アメリカでは、本年6月、全米40の州政府がフィリップ・モリスなどの大手たばこ会社を相手取って起こしていた「たばこ訴訟」たばこ会社側は全面敗北し、和解が成立したと報じられました。これまた、画期的なことで、今まで多くの「たばこ訴訟」で、たばこ会社は、裁判で勝ち続けて来ていたからです。

それによりますと、たばこ会社は、今後25年間に計約44兆円(3685億ドル)を支払うことで和解が成立し、また、たばこの屋外広告や自動販売機を一切やめ、たばこの箱の表側の4分の1に「たばこには中毒性がある」、「喫煙は肺ガンや心臓病などの死を招く」といった警告文を載せることに同意しました。

その上、昨年8月、クリントン大統領が、ニコチンは中毒性のある薬物である、つまり麻薬に類似の薬物であると認定し、規制策を発表しましたが、その米国連邦政府の決定をも容認しました。

今や、たばこには麻薬と同じ習慣性があり、発がん性があることが世界的に認められているのであります。
米国のたばこ訴訟に会社側が和解に応じた裏には、会社の内部文書が暴露され、にっちもさっちも行かなくなったからであります。この内部文書には、タバコがいかに健康に有害であるかという決定的な証拠が記載されていました。

ニコチンは中毒性の物質であり、タバコががんの原因になること、そしてそれらのデータをタバコ会社が30年もの間、国民に隠し続けていたことが、その文書から明らかになったのであります。

次のような記述さえありました。「ニコチンは中毒を起こす。我々はそのニコチンを売っている。ストレスを弱める効果のある中毒性薬物であるニコチンを。」

因みに、喫煙の健康への有害性を訴えるキャンペーンは、カナダが最も進んでいますが、カナダの紙巻きタバコの箱には次のように書かれています。

○Cigarettes are addictive.
○Cigarettes cause strokes and heart disease.
○Cigarettes cause cancer.
○Cigarettes cause fatal lung cancer.
○Tobacco smoke cause fatal lung disease in non-smokers.
○Smoking can kill you.
○Smoking during pregnancy can harm your baby.

もう皆様方は、タバコの有害性については十分ご承知であり、タバコに関する知識も豊富であろうと思います。そこで、今日は私自身勉強中の”タバコと発がん”について最近の話題を中心にお話しさせていただきます。もっとも、私はタバコ問題の専門家でもなく、また、タバコと関係のあるがんの患者さんに接する機会の全くない一小児科医でありますので、付け焼き刃的な話になると思いますが、ご容赦くださいますよう初めにお断りしておきます。

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 2.ある老人の例(タバコの中毒性の恐ろしさ)

私の診療所に、孫が病気になるとお勤めのお娘さんの代理で来ていたおじいさんがいました。いつもハアハアと息苦しそうで、肺気腫のようでした。
暫くすると外来に来られなくなりました。
お娘さんに「おじいさんはお元気ですか」とお尋ねしますと、肺気腫が進行し、孫を連れて来るだけの元気はもうなくなりました。お医者さんに寿命を縮めるタバコを直ちにお止めなさいと言われても、「タバコを止めるくらいなら死んだ方がいい」と言って、「ハアハア、ハアハア」言いながら吸い続けております、とのことでした。
その後、「あんなに好きなタバコも吸えなくなりました」とそのお娘さんは涙ながらに話してくれたことがありました。

タバコの中毒性とは実に恐ろしいものだとつくづく思います。

数年前のNHKの朝の連続テレビ小説に、”春よ、来い”という、橋田寿賀子さんの伝記ものがあったことを覚えていらっしゃいますか。
 ドラマの主人公の夫は、ジャーナリストで若い時からのヘビ−スモ−カ−でした。定年後肺がんにかかり、入退院を繰り返しますが、主人公は夫が肺がんであることに気付かせないため、家にはタバコの灰皿をそのまま置いていました。 
一時帰宅した夫は灰皿を見て、「もうタバコは止めたよ」というシ−ンがありました。そのとき、「この肺がんは腺がんなので、タバコとは無関係である」というナレーションが入ったそうです。
 私はその場面もナレーションもはっきりとは覚えていません。 
タバコと肺がんの因果関係は、今では常識的になっていますね。しかしながら、肺がんも病理組織学的(顕微鏡学的)に色々と分類されており、そのうち、タバコによる肺がんは、へん平上皮がんと小細胞がんが多いことが分かっておりますが、テレビのナレーションに出た腺がんのリスクもかなりあると言われています。

これを日本人を対象に調べた結果(1981年)がありますのでそれを参考までに紹介させていただきます。 
肺がんを病理組織学的に分類しますと、へん平上皮ガン、小細胞がんの9割はタバコが原因、腺がんでも2−3割はタバコによって起こるということです。

 NHKはタバコの広告の入らない唯一のテレビ放送ですが、タバコを宣伝するようなことを、ドラマのなかで、しかもナレ−ションの形でわざわざ放送したことに対して、日本禁煙推進医師連盟(会長:東海大学病院五島雄一郎名誉院長、平成4年設立)は直ちに会長名で、次のような内容の申し入れをNHK会長宛に行いました。

 「タバコについて無知な人を惑わすようなことを言うのは無責任であり、犯罪とも言える。戦後喫煙者が急増し、その人々が高齢となり、日本では現在男性のがん死亡の第1位は肺がんになった。その他、タバコは胃がん、膵臓がん、喉頭がんその他すべてのがんに対するリスクは明らかである。テレビドラマの中でも本当に正しい情報を流して欲しい。」 

これに対して、NHKチ−フ・プロデュ−サ−から、チェックミスを認め、以後細心の注意を払い、番組の製作に当たる旨の返書があったそうです。

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3.コホ−ト調査

 タバコと言えば肺がん、肺がんと言えばタバコ、と言われていますが、タバコと因果関係の最も深いがんは何かご存じでしょうか。
以前にもこの会で質問したことがありますが、ご存知ですか。ちょっと手を挙げてください。喉頭がんですね。
 男性の場合ですが、喉頭がんの95%はタバコ(喫煙)が関係しています。これを別の言い方をしますと、タバコを吸わない人は喉頭がんになる心配はまずない、タバコを吸う人だけが喉頭がんにかかるということです。タバコを吸う人だけが選ばれたように喉頭がんになるということです。

このような研究は、多くの疫学的研究からわかったことです。

 ところで、皆さんは、コホ−ト調査という言葉を耳にされたことはございませんか。これは軍隊用語からきた言葉で、待ち伏せ調査、追いかけ調査、計画調査と訳されています。

今から2年前の平成7年10月に平山雄という、がん疫学の世界的な学者がなくなりました。この人の講演をお聴きしたことがございます。余りにも説得力のある素晴らしい講演でしたので、私のインターネットのホームページに「記憶に残る講演」としてそっくり載せております。

余談になりますが、ある人が、インターネット上で、「平山さんの講演を聴こうと題し、私のホームぺージの記事を紹介してくれています。
その中で、タバコの発がん性について次のように述べています。

知識人の中にも人口10万人対107人は宝くじのようなもので、自分は大丈夫と思っている人が多い。人口10万対何人というのはリスクとしては低いようであるが、これは1年間の罹患率である。生涯罹患率でみると、これの約百倍になる。1日50本以上の喫煙者では、75歳までに肺がんになる人は10万人につき3万3千510人、ちょうど三分の一が肺がんになる。なぜ残りの人が肺がんにならないかというと、肺がんになる前に心臓病などで死ぬからだ」 

実は、この人が中心になって厚生省が、日本で初めて喫煙と健康障害に関する大々的なコホ−ト調査を開始したのは、1965年、昭和40年でした。

 この調査は、全国の6府県(宮城、愛知、大阪、兵庫、岡山、鹿児島)、29保健所管内の40歳以上の健康な地域住民を対象に、保健婦の家庭訪問による詳細な生活調査、つまり食習慣、飲酒、喫煙、生活環境などを調査し、その人々を17年間にわたり、どのような病気で死亡するかを追跡調査したものです。その結果が、1981年(昭和56年)に発表されました。 

それによりますと、17年間に5万5千人(約21%)が死亡し、そのうち、がん死亡は約1万5千人(26.6%)で、死亡者のうちの4人に1人ががんで死亡していました。このコホ−ト調査から実に色々な事実が発見されました。今なお結果の分析が進められており、次々と新しい事実が発見され報告されています。先程の喉頭がんと喫煙の因果関係はこの調査で初めて明らかになったものです。

 ここで、コホ−ト調査のうちから、がんに関するものだけをちょっと紹介させていただきます。これは色々な書物に引用されているので皆様は既にご存知かも知れませんが、復習の意味で聴いてください。 
男性喫煙者の部位別がん死亡倍率をみますと、酒だとか魚、肉、ミルク、野菜などの食餌には殆ど関係なく、タバコだけが身体の色々な部位のがんの発生率に関係しております。喫煙者は非喫煙者に比べて喉頭がん32倍、肺がん4.3倍、咽頭がん3.1倍、口腔がん2.5倍、食道がん、膀胱がん、膵臓がん、肝臓がん、胆管がん、胃がんなどの順になっています。

 女性の喫煙者は男性ほどのヘビ−スモ−カ−は少ないためか、喉頭がん3.4倍、肺がん2.3倍でありますが、子宮頸がん、乳がんなどの死亡率が非喫煙者に比べて高くなっています。 

男性の場合の喫煙量と肺がん死亡の関係をみますと、喫煙量が増えるにつれて肺がんで死亡する率が高くなっています。先程述べました部位別がん死亡倍率は平均値であり、肺がん死は4.3倍でしたが、これは1日に15−20本程度を吸っている人に相当するものであり、30本以上になると急速に肺がん死亡倍率が高くなり、50本以上ではタバコを吸わない人の15倍も危険であるということです。 

皆様はユルブリンナ−というアメリカの有名な俳優を覚えていらっしゃいますか。知っていらっしゃる方は手を挙げてみてください。確か、「王様と私」に主演したのではなかったかと思いますが、この人は1日80本以上のヘビ−スモ−カ−で、最後は肺がんで苦しみながら死んでゆきましたね。

 この人が死亡する4か月前にビデオ録画を行い約30秒間、テ−プに吹き込みました。
「私は禁煙のコマ−シャルを作りたかったのですが、病気が重過ぎてできませんでした。死んでしまった今、私は訴えたい。タバコを吸わないでください。私もタバコを控えることができたなら、がんにはならなかったでしょう」 

これは、死んでから放映され、死者からのメッセ−ジということで全米で非常に感動を呼んだということです。 

日本でも肺がんで死亡した有名な俳優としては、宇野重吉、鶴田浩二さんなどがいますね。これらの方もタバコを吸わなかったら、いまも舞台や映画で活躍しているかも知れません。高松宮様も肺がんで亡くなられましたね。やはりタバコがお好きであったということです。

昨年腹部大動脈瘤破裂でなくなった司馬遼太郎さんもヘビースモーカーでした。動脈瘤のリスクファクターとして、タバコが挙げられております。

ところで、皆様は間接喫煙についても十分ご存知と思いますが、自分はタバコを吸わないのに、夫がヘビースモーカーであった場合、妻が肺がんにかかる危険性は2倍ということを世界で初めて発表したのは、平山先生でした。このコホート調査の結果に基づくものでした。

先ほどご紹介した米国で暴露されたタバコ会社の資料には、「この平山論文は信じられない」とのキャンペーンをしたことが記載されております。発表当時は、これを誰も信用しませんでした。世界各国で次々と追試(同じ調査)が行われ、どの国で調べても同じような結果が出たのです。WHOもこれを認め、今ではこれに異論を唱える人はありませんが、たばこ会社は本年6月の和解が成立するまで、受動喫煙による健康被害は証明されたものではない、との公式の立場を維持し続けたのです。

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4.タバコの煙に含まれる発がん物質と発がん性

 皆様ご存知のとおり、タバコの煙の中に含まれる有害物質は2−300種類と言われていますね。その中でニコチン、CO、タ−ルは悪の三横綱であることもご承知のとおりですが、発がんに関係のあるのはそのうちのタ−ルです。

 タ−ルと言えば、私たちの年代の者は、コ−ルタ−ル、つまり石炭のタ−ルを思い出します。昔、山際という学者がコ−ルタ−ルを兎の耳に塗りつづけ、世界で初めて人工的にがんを作ることに成功しました。人工的にがんを作ったのは、日本人が世界で初めてだったのです。是非このことを覚えておいてください。

 タバコの煙には、多種類の発がん物質と発がん促進補助物質が含まれていることが証明されています。

 発がんがどのような機序で起こるかは未だ十分解明されてはいませんが、一般的に、がんを起こさせる物質、これを発がんイニシエ−タ−と呼びますが、これがまず作用して、細胞の核の中にあるDNA、遺伝子に突然変異を起こさせ、がん遺伝子が活性化します。言わば「がんの種」を蒔いたことになります。
しかしながら、これだけではがんは発生せず、これを促進する物質、すなわち発がんプロモ−タ−が作用し、初めてがんが発生、つまり発芽し、プログレションの過程、肥料をやってやがて成長し、がんが発症することになります。
今、申しあげた発がんイニシエ−タ−、発がんプロモ−タ−の外に、両者を兼ね備えた発がん物質もございます。

 また、次のような研究も報告されています。 

タバコに含まれている発がん物質は、体内に入ってある酵素の働きによってDNAと結合し易い型に変換されます。発がん物質は、通常はDNAと結合しても、その部分は酵素によって切り取られ、元の状態に修復しますが、それが何らかの要因でうまく行かなかった場合、DNAの損傷(きず)として残り、変異(異常)DNAが生じます。これにより、変異細胞が生じ、それが生体の本来のコントロールを外れ、発がんすることになります。これが先程述べましたイニシエーションと呼ばれるものです。イニシエーションによって生じた変異細胞はプロモーションという過程を経てさらも増殖が促進され、続いてプログレッションという過程を経て臨床的ながんとなる訳です。

プロモーション作用の発現には長期間を要し、タバコの発がんで言えば20年から30年ということになります。
 イニシエーションされた変異細胞はすべてがんになるのではなく、ごく少数ががんに進行することになります。
 喫煙による発がんは、発がん物質のイニシエーションとプロモーションの二つの過程が複雑に関与した総合結果であります。

 また、遺伝子レベルの研究によりますと、もう少しわかってきているようです。それは、発がん物質の大部分は活性酸素を発生します。タバコを吸いますと活性酸素が大量に発生し、それが細胞のDNAに作用すると考えられるようになりました。
 タバコを吸い続けますと、体内に活性酸素が大量に発生し、これが遺伝子、特にがん抑制遺伝子に作用し、がんを発生させることがわかってきたのです。
 人間には生まれながらにして、がんを発生させるがん遺伝子とそれを抑えるがん抑制遺伝子の両方を持っております。
自動車のアクセルとブレ−キに譬えると分かりやすいと思います。発がん遺伝子はアクセル、がん抑制遺伝子はブレーキの役割を果たしている訳です。
 健康な人間では、アクセルとブレーキ、つまり両方の遺伝子のバランスがうまくとれ、がんは発生しないのですが、年をとるにつれてそのバランスが崩れ、がんが否応なしに発生してきます。高年齢になるとがんになる人が多いのはそのためです。
 この遺伝子のバランスを崩す要因は色々ありますが、その大きな要因の一つがタバコということです。

ブレ−キを壊し、自動車を暴走させるのがタバコであるということです。この説明は極めてわかり易いので、私は人に話すときにアクセル、ブレーキ論を展開することにしています。

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5.禁煙の効果

今まではタバコが肺がんの原因として大きな役割を果たしている、喫煙は恐ろしい習慣である点を強調してまいりました。それでは、今喫煙している人は救われないではないか、ということになりますが、タバコを止めると5年吸い続けたときと比べ、危険率は半減することがわかっています。
しかも、どの年齢で禁煙しても効果があります。これもコホート調査ではっきりとわかっています。

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6.具体的な禁煙対策例

ニコチン置換療法

ニコチンガム (日本で承認されている医療用禁煙補助薬)
ニコチンパッチ(日本では承認申請中)

ドクターストップ禁煙コンテスト(財)大阪がん予防検診センタ−準備期間2週間、禁煙4週間、10年間に3万人参加約2割(6200人成功)
「インターネット禁煙マラソン」奈良県大和郡山市立病院禁煙外来 

以上で本日の主題である”タバコと発がん”−最近の話題−を終わりますが、少し時間がありますので、平成7年3月、2年前に発表された厚生省のタバコ行動計画を紹介させていただきます。

 この報告書は、WHOの提唱する「西暦2000年にタバコを吸わないことが普通の社会を実現する」ことを目標に日本で策定されたものです。

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7.タバコ行動計画

 この報告書は、タバコ対策を「防煙」、「分煙」、「禁煙・節煙」の三つに分けています。防煙対策としては、広告の規制と「健康を損なう恐れがありますので吸い過ぎに注意しましよう」などの注意表示の強化を提言しており、特にテレビCMについては「全面禁止が望ましい」としています。ただ、当面の対策として、放送時間帯の見直し(午後10時54分ー翌朝5時)とCM量の圧縮を求め、未成年者の喫煙防止のため自動販売機の稼働時間の制限や価格の引き上げを打ち出しています。

この点については、来年4月から、テレビでの広告は自主的に全面禁止になり、一歩前進です。ただし、新聞、雑誌、街頭の看板は続けられます。分煙対策として、医療機関、学校、児童福祉施設では「禁煙原則に立った対策」を求め、公共の施設、交通機関では現状以上の分煙の徹底を図り、職場でも非喫煙者に配慮した分煙対策を進めるよう訴えました。

分煙対策では、「タバコを吸わない」との原則を強調するため、分煙対策で従来使われて来た「禁煙タイム」、「禁煙区域」などに加え、「喫煙時間」、「喫煙区域」などの名称の積極的な使用も提言しています。
愛媛県新居浜市は、職員を対象にした「市役所禁煙対策8か条」を策定し、「空気がおいしい市役所です」を目指した「禁煙対策」が平成9年7月14日(本年)からスタートしました。禁煙タイムは午前10時から正午までと、午後1時から3時までの1日2回、庁内会議は全面禁煙に、喫煙場所を設定、1階ロビー休憩所以外の灰皿撤去、地下食堂は禁煙など、が実施される、と新聞に掲載されました。私のインターネットのHPのタバコに関するスクラップ帳−その3でもこのことを紹介しております。 

 いつかの新聞にアグネスチャンが、「禁煙席でなく喫煙席」を設けるよう寄稿していたのを読んだことがあります。 

禁煙・節煙については、先ほどご紹介した医療機関等の禁煙サポートへの取り組みや禁煙指導者の養成、タバコと健康に関する情報提供などの節煙対策、歩行喫煙やポイ捨て防止のための喫煙マナーの普及活動の推進などを訴えています。

 ただ、タバコの広告や自動販売機などの規制強化や分煙対策は、業界の自主的な取り組みに委ねることを原則として打ち出しているに過ぎず、国は分煙対策のマニュアルづくりや民間の取り組みへの支援、啓蒙活動の推進、健康への影響調査研究などを行うとしており、国の積極的な関与は明記されていないのが一寸もの足りません。ともあれ、一歩前進ではありますが、この行動計画委員会は禁煙運動だけをやろうというものではなく、タバコ産業の委員も加わっています。

 委員構成として、タバコ産業株式KKの情報部長、タバコ販売組合の組合長、ジャーナリスト、エッセイスト、医事評論家、がんセンターの医師、結核予防会会長、健康・体力づくり事業団理事長、日本医師会理事などとなっており、喫煙者も何人かいるということです。従って、この程度の報告しかまとめられなかったのではないかと思います。タバコの恐ろしさを考えるとき、少し手ぬるいのではないかという感じがいたします。

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8.おわりに

  肉食を避け、飲酒を控え、緑黄色野菜を毎日とり、タバコを吸わない生活が、がん予防の観点から大切ではないでしょうか。ご静聴ありがとうございました。

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