啓蒙オフ新聞 VOL,1  発行人:(有)マルカワレーシング
 編集人:魔留華倭よいち
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THE FIRST GALE OF THE SPRING (春一番)

春の嵐が丘を越え、谷を渡り、街路樹の木々の梢を揺らす。昨夜半から

降り始めた、少女の溜息のような小雨も止み今朝は春特有の柔らかな
陽光が、店の前の濡れた舗道を優しく照らしている。
嗚呼、素晴らしくいい天気だ。まるで「覆された宝石のような」美しい朝
だ。こんな日にあくせく仕事するなんて本当にもったいない。
今すぐ愛車に跨り、木漏れ日に揺れるあの森の小径を、撫でるように
そっと駆け抜けてみたい。きっとそこでは、万緑の青葉が深い影を
落とし、匂い立つ名もなき合歓の草花達が私を迎えてくれることだろう。
ぼんやりとしてそんな夢想に耽っていると電話が鳴り、私は眠りから覚めたような気持ちで受話器を取った。
そしてその時に交わされた会話が後でとんでもない事態を引き起こすとは、私には知る由もなかった。
.電話の内容はニカジルメッキに関する問い合わせであった。商いには直結しないものの、私はもともとこういう話は
好きなので相手の方に詳しく説明し始めた。
ご承知のように、ニカジルとはシリコンカーバイトを分散させたニッケル素地をもとに、オールアルミとしたシリンダー
ウォールに60ミクロンの深度でメッキ処理を施したものだ。特徴としてシリコンカーバイトは湿潤性に富み、微小硬度
が非常に高い性質を持つ。加えて摺動抵抗が少なく耐磨耗性と耐熱性にも優れた素材である。NickelとSiliconの
ふたつを結語省略して一般では「ニカジル」と呼いんでいる。レーシングマシンに代表される近年の高出力エンジン
には欠かすことの出来ない最先端の表面硬化処理のひとつであった。しかしその後、ホンダのNSR250を
始めとする通常の市販モデルにも広く採用されはじめた、云々。
長めの電話が終った後、一息つけるため私は冷蔵庫から缶コーヒーを取り出し、ゆっくりと飲み始めた。
その時である。聞きなれない言葉がよほど気になったのであろう。
不思議そうな顔で事務員さんがぽつりと私に訊ねた。
「社長さん、ニカジルってどんな”お汁”なんですか?」と。
それを聞いた途端、私は口の中のUCCを勢いよく事務所の天井に向けて吹き上げたのである。笑いも極に達すると
笑えないどころか死ぬことだってある。激しい痙攣に耐えながら、床に伏せたまま悶絶する私の頭上で、
細かな粒子となったその液体はたまゆらの美しい虹を描き、はかなく消えた・・・・。
私の「春一番」であった。
閑人独語
日本というひとつの国家は「ド田舎」と「田舎」と「都会」で構築されている。この三つを識別する定義を、田舎もんの
ひとりとして私なりに考察してみた。あなたが住んでる場所も、下記のどれかひとつは思い当たるところがあるはずだ。
ド田舎・・・車を除くとバスが主要な交通手段で、鉄道が通っていない。家に帰る途中に土道がある。集会所があり、
..................消防団や青年団という強力な保守系組織がある。地元の者どうしで話していると、内容がよそ者には絶対に
      解読不可能である。夕飯を食べていると突然、隣家の人が入ってきて「醤油が切れたからわけてくれ」と
      言ったりする。風がある日は何処からともなく、例のカントリーフレイバー(田舎の香水)が鼻腔を攪乱する。
      幸か不幸か人口の大多数は老人達によって占められている。したがって住民の主要な話題は大相撲で
      あり、どの家の土壁にも番付け勝敗表が貼り付けてある。NHKの信奉者が圧倒的に多く、
      受信料もきっちり収めている。それと、どうしてか分からないが、エルビスプレスリーはアメリカ大統領だった
      と信じている人が結構いる。実に不思議な現象だ。しかし、ひとたび国家的な危機に見舞われた場合、
.      最後まで生き残るのは彼らである。これは絶対、絶対、間違いない。
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田舎・・・・鉄道はあるが痴漢が出るほど乗客が乗ってない。飲んだ帰り道でゲロを吐いたりすると、次の朝には近所
      の人みんなにバレている。住民は互いに家族構成や年齢、収入等、様々な情報をしっかり把握している。
      若者の憧れの街は何故か東京である。中には都会暮らしをしたことがある為か、自分が流暢な標準語を
      話していると感ちがいしてる者がいる。が、どんなに背伸びをしても、気取ってみても本質と言うものは
      そう簡単に変えれない。本人が知らないだけで本場の人達にいわせるとやはり皆、相当なまっている。
      哀しい話である。ところで、ここの住民の主な話題は、もっぱらプロ野球で巨人ファンがべらぼうに
..................多い。放送がほとんど巨人戦しかやってないからだ。これはマスメディアによる典型的な「洗脳」の好例である。
      勿論、当の本人はそのことに全く気づいていない。トホホ・・・。そんな訳で、無知は諸悪の根源である。
      そこから偏見や洗脳という悲劇が生まれる。皆さん、くれぐれも気をつけましょうね。
.      ん?誰だ?洗脳された方が生きるのが楽だなんていってる奴は・・・。
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都会・・・・地下鉄がある。若い女性は90%以上の確率で痴漢と遭遇する。被害に遭わない残りの10%足らずは
      ”片桐はいり”(注)の類か、その親戚だ(笑)。主な公園の一部はホームレス達に占拠され、独特の活気を
      呈している。人々は何かに憑かれたように強迫的な速足で歩き、必要以上にせっかちである。
      が、実のところは、住民の大多数がもとはといえば「ド田舎」もんと「田舎」もんが帰化した人達で
      構成されており、それぞれが見事に都会人を演じている。こんなこと書くと石が飛んできそうだが、
      東京タワーも彼らが主になって建てたのではなかろうか?あくまでもテレビ塔であるのは仕方がないとしても
      私的にはどうみても、あまり洒落てるとは思えない。つまり実用的すぎるのだ。装飾の概念が全くない・・・。
      とはいっても都会は「もう一人の知らない自分」に目覚めてとまどったり、「雑踏の中の孤独」という貴重な
      体験ができる絶好の場でもある。ただ、深夜になるとマンション隣の部屋から、とても人間とは思えない
      異様な唸り声とかビシャ、グシャという不気味な音が聞こえたりする。お隣さんとしての接触は全くない上、
      その姿さえも見たことがない。これは都市の最も恐ろしい部分だが、その反面では、田舎暮らしとは
      比較にならない「プライバシー」だけは厳然と保たれる。案外、都会に「棲む」最大の利点はこのあたりに
      あるのかもしれない。かくいう私も若かりし頃、東京で暗〜い青春を謳歌しておりました。バイトで晴海埠頭の
      ドブ工事の埋め立てをやった事もあります。夏の強い日差しにむせかえる作業場で、土方のオヤジさん達と
      休憩時間によく飲んだあの、ナマぬる〜い、ヤカンの麦茶は、ほろ苦く、切ないほどに美味しかった・・・。
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さて、貴方はどちらにお住まいでしょう?どうやら私の場合は「ド田舎」と「田舎」の中間に位置するようだ。
今、これを書いている店のすぐ前には山が迫っている。よく見るとその段々畑にモンペをはいたお婆さんが、
ドジョウ掬いに似たフォームで野良仕事をしている。珍しくない。いつもの風景だ・・・。
あ!何か担いだぞ、6尺位(180cm)の棒の両側に樽をつけたあれは・・・肥えだ!肥えを運んでる!
日本古来の有機栽培だ!あれ?ということはここは、基本的に生粋の「ド田舎」だったんだ!ガチョ〜ン!(古い!)
とにかく、婆さん、足元に気イ付けてやー、転んだらいけんで〜!
(注)私のド田舎では「いけない」を”いけん”と発音します。「〜するから」の場合、”〜するけん”と言います。
どうです?標準語のそっけなさに比べると愛嬌があってなかなかいいでしょう?特にプリティウーマンが言うと
その美顔と訛りとの大きなギャップがなんともいえない、ほのかな色香を醸し出し、卓上のワンカップも美酒に変わります。
(注)彼女が初めメディアに登場したとき、その造形の(特に顔面)凄まじさに心底驚き、憐憫と恐怖さえ抱いたものだが、
そのうちほかの女優にはない独特の可愛らしさを感じるようになってきた。認めたくないがこれは事実である。
慣れというのはやっぱり怖い。Hahaha・・・。

[ 今月のド田舎美人 ]

[ 今月のアル中 ]

[ 今月の女子高生 ]

店の近くの「ホテル八昭」でお勤めの
武内礼子さん。年齢不祥だが推定42、3と見た。趣味はノラネコの溜まり場にエサをやりに行く事だそうである。時給630円にもめげず、とっても陽気で働きもんの「おそうじオバチャン」である。なぜかご老人達にはとりわけ人気がある。そう、彼女がいる限りわが町の老後はとても明るいのだ。ちなみにダンナさんは筋金入りのギャンブラーだったが、彼女と一緒になってからピタリとやめたそうである。礼子はん、困ったことがあったら、おっちゃんに何でも相談せんといけん。力になりまっせー!






僕の悪友のひとりである竹田君。3ヶ月間の苦闘の末、2週間ほど前に精神病院からめでたく退院した。アル中で強制入院させられる前は、毎日一升壜を軽くあけていたそうである。恐ろしい話である。地元では行列ができるほど、熱烈なファンが多かった「あかね」というたこ焼き屋の元経営者。メダルこそないが伝説の男、レジェンドなのだ。特にダシに凝っていて食するとアゴが外れるほど美味かったが、もう今では幻の逸品となってしまった。本当に残念。まあそれはともかく、元気になってなによりだ。ところで、お前いつ店は再開するんだ、このタコ!





私が通っている英会話クラブの高校生グループ。みんな可愛いですね〜!左から里美さん、寛子さん、裕美子さん。寛子さんは裕美子さんのお姉様で只今、英検1級取得の為、猛勉強中。先日、「おじさんはお仕事何してるの?」と聞かれたので「ボーエキ関係や」と答えておいた。その後の会話で、突然彼女が「ディックってどういう意味ですか?」と真顔で言ったので、はからずもおじさんはうろたえた。「あのなお嬢さん、それはな、オチ○・・・」と言いかけて絶句してしまったのである。(注)ディックは今のダイキの旧名。
現代はグローバル社会であるからして
ネーミングには慎重な配慮がいるのです。




[ 今月のおいし〜いプレゼント ]

     [ おらが村のエロ事師 ]

 

わがふるさと八幡浜は、練りもんの町である。大小あわせて20件近くかまぼこ工場がある。熾烈な品質競争に勝ち残っただけに、どのお店も非常にハイレベルである。そこで本新聞の感想をメールしてくれた人の中から抽選で、なかでも美味にして雪白、かつ滋養に富むと定評のある「谷本蒲鉾店」特製の”びり鯛かまぼこセット”を2名様にプレゼントします。高島屋のHPのギフトコーナーにもリストされている折り紙付きの銘品である。但し、勤めてる職人さんの話に
よると名前だけで鯛は全く入っていないということです。これは知らなかった。残念〜!とにかく賞味期限の関係上、早めにじゃんじゃんご応募ください。尚、当選者の発表は次号、この紙面でやります。
(〆切りは4月末まで)


おーい賢一、俺だ、覚えてるかぁー、
このドスケベ!テメエは俺の出張中に、酔っ払
った勢いで、留守をいいことに、夜中の2時ごろ
電話かけてきやがって、俺の嫁はんを
口説いたろー!酒の上の事とはいえ、
忘れたとは言わさんぞ〜!この不義理もんが!
なにが「ボクはあんたの旦那より5歳若いから
エエ仕事しまっせ」だ。それを聞いて動じる俺
ではないのだよ。確かに歳はとったが、まだ
俺は現役じゃ。それに若いモンには想像も
つかん秘儀も、ムフフ・・・・まあええわい、
今回は勘弁してやる。が次はないからな〜!
今度やったら、そん時はお前がどんだけ変態
かここで全部バラしてやるじょ〜!ついで
に罰金としてお前のテネレは俺のもんだじょ〜。
どうだ、まいったか!ムホホホホホ・・・。

(注)じょ〜の部分はマンガ「おそ松くん」のハタ坊を
想起してください。それにしても、古い・・・古すぎる!





[ お断り ]
本新聞はご登場いただいた皆様の御了解を得て作成しております。したがって非難中傷には該当致しません。
それにしても皆さん懐がお深い。さすが港町、ハマの心意気、八幡浜人だ。恐れ入りました。
万が一彼らの気が変わって訴訟という暴挙に及んだ場合は、皆さん私を助けてくださいね。

 

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