日本医療マネジメント学会愛媛県支部長挨拶


<2021年度 挨拶>

日本医療マネジメント学会愛媛支部長 櫃本真聿
2021年度もUNDERコロナ状況での幕開けとなりました。昨年度はあえて見送り、今年度は従来通りの方式で開催することとし心待ちにしておりましたが、結局WEB配信による実施を選択せざるを得ない状況となりました。総会長の宮岡弘明様および開催担当の済生会病院は2年間にわたりご心労をおかけし、今回の開催につなげていただきましたこと、心から感謝申し上げます。 昨年からの繰り越しとなりました第11回の学術集会は、「病院(医療施設)の地域貢献」を大会テーマとして、宮岡弘明氏のもと済生会松山病院のお世話により開催したします。地域包括ケア時代、医療機関が地域にアウトリーチをかけ、地域づくりに積極的に参画し、特に住民のセルフケアの向上や地域力を引き出すなど「地域貢献」に取組むことが期待されています。まさに「王道の医療」について学べることを楽しみにしております。 さて長引くコロナ渦に振り回され続け、政治家・専門家達が躍起になっても、ワクチン頼みと人と人との接触を避ける自粛作戦に尽きるといった現状に、やるせない気持ちでいっぱいです。本当に大事なことは何なのか、いろいろ考えさせられましたが、全てはセルフケアに尽きるということを、改めて痛感した次第です。ただし“セルフケア”については、生活習慣病やメンタルヘルスではお馴染みですが、一般的な解説では不十分であり、その真意を共通理解するための議論が必要だと思っています。私としては、「自らをエンパワーしてコントロールする意識や行動」と解釈することで概ね納得しています。 急激な少子高齢化に適応した医療や介護システムはいまだ現状維持の状況で、社会的弱者を生み出さないというセルフケア重視・自立支援への転換が上手くいかないまま、社会的弱者ケア重視の「してあげる」もしくは「やらせる」のサービス提供にとどまっています。しかし皮肉なことに、コロナ禍が時代の先を見せつけ、転換の必要性を強引に促していることを実感しています。欧米に比べてはるかに少ない新型コロナ患者数にもかかわらず、何故医療崩壊の危機が度々叫ばれるのか、まさに現状のシステムの問題が露呈してしまいました。この期に及んで、嵐が過ぎ去り元に戻ることを期待している場合ではないでしょう。専門医・急性期病院主導の疾病対策重視から脱却して、住民の生活に着目した「自分らしく生きるために」を実現するために、セルフケアを重視した支援体制が急務なのです。 セルフケア力にブレーキをかける医療ケアシステムでは、超高齢社会の自滅を誘引となることは必至です。従来のサービス提供型から脱却し、受け手の主体性が尊重されるよう、セルフケア向上への支援へと大転換を図っていかなければなりません。「人と人の接触を断つ」といった自粛頼りの急場しのぎ対策から、「人と人の接触を保つ」を前提とした、セルフケア力向上を狙いとした、持続可能な社会づくりへの展開を、心から期待しています。まさにSDGsを重視した方向へと切り替えられないものか・・・そう感じている人は少なくないと思いますが、今こそマネジメントの大切さを強く感じています。
 2021年05月26日


/支部長挨拶一覧表