日本医療マネジメント学会愛媛県支部長挨拶


<2022年度 挨拶>

日本医療マネジメント学会愛媛支部長 櫃本真聿
2022年もコロナに明け、そして未だにアンダーコロナから脱却できない状況ですが、それでも本年6月に神戸で開催された日本医療マネジメント学会の学術集会は、コロナ前と遜色ない大勢の参加がありました。愛媛支部においては、2020年は見送りましたが、昨年は済生会松山病院のご尽力によりWEB方式で学術集会を開催することができ、皆様のご理解とご支援により当会の運営が継続・発展しておりますことに心から感謝申し上げます。 さて第12回学術集会は、2022年10月1日の開催で、梶原伸介総会長のもと、市立宇和島病院の主催で、「地域連携」をテーマに準備を進めていただいております。地域包括ケア時代は、医療機関等が地域にアウトリーチをかけ、地域づくりに積極的に参画し、特に住民のセルフケアの向上や地域力を引き出すなど「地域貢献」に取組むことが期待されています。 梶原総会長はかねてから、市立宇和島病院長として、地域に根付き地域を深く理解し受け止め、地域連携の大切さを極めて重視してこられました。自ら先頭に立ち「あじさいネット」や「しまネット」等の全国の先進事例を参考に、県内に先駆けて、当地域に「きさいやネット」を立ち上げられ、ICTを活用した地域連携の推進において着実に成果を上げて来られました。今年度の学術集会では、その経験や思いを込めて、小坂真二院長(島根県立中央病院)や、宇都宮啓氏(元厚労省健康局長)の特別講演等を企画されています。本集会が、皆様からの一般演題と共に、いわゆる目指すべき「王道の医療」を進めていくための「地域連携」に焦点を当てた、活発な議論の場となることを心から祈念しております。 この2年半の間、「コロナのせい」で医療介護の分野においても多大なダメージを受けることになりましたが、一方で「コロナのお陰で」ともいうべき、10年先の時代を引き連れてきた感があります。結果的には、地域包括ケアシステムを推進する上での大きな後押しにもなったと思います。特にICT関連の展開には目覚ましいものがあり、地域連携のツールとしても、補助的な役割から中核的存在となりました。コロナストレスを原動力にして、これまでの遅れを取り戻すにとどまらず、大きな発展へとつながることを期待しています。 医療や介護分野を巡る環境は厳しさを増しており、経営マネジメントへの意識はますます高まってきてはいます。しかしだからこそ、目前の課題解決に終始しない、本来の医療・介護の在り方を目指した切り替えが必要だと思います。言うまでもなく地域連携は目的ではなく、あくまで「王道の医療」を志向し達成するための手段です。医療や介護が目指す真の目的を明らかにし、その目的を共有した者が、互いの力を引き出しあう関係性を地域に築くことで、初めて地域連携が意義を持つのです。医療費抑制策に対応した病院経営の選択肢としての、切羽詰まった状況回避ではなく、医療介護分野の社会貢献としての役割から、人々の生活を支え、セルフケアや地域力をエンパワーするための地域連携として、地域に根付いた活動が展開されていくことを祈念しております。
                                2022年7月吉日


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