日本医療マネジメント学会愛媛県支部長挨拶


<2018年度 挨拶>

日本医療マネジメント学会愛媛支部長 櫃本真聿
  〜地域包括ケア時代をけん引する学会として〜
本会は、役員及び会員の皆様の積極的・意欲的な活動に支えられて8年目を迎え、会員増と併せて学術報告は質・量とも毎年充実しており、心から感謝申し上げる次第です。 本年行われた医療・介護報酬同時改正はまさに、全ては地域包括ケアシステム実現に向けたプレリュードと言っていいほど、明確な方針が出されました。 “医療を生活資源に”を強調してきた私にとって、この改定の基盤には、“生活に戻すため”という生活を重視したマインド(志)がしっかりと位置付けられており、まさに“想定”と評価しています。医療費抑制を全面に打ち出された医療ビジョン(構想)の目的も、地域包括ケアシステムのキーワードである「生活重視」に準じてきたように感じます。地域包括ケアシステム導入の経緯やその真意を知ることで、さらに今後の動きを予測することが可能となりました。診療報酬の“後追い”に甘んじず、診療報酬の先取りにチャレンジすることが、地域包括ケア時代を活き抜くための医療経営の条件と言っていいと思います。 さて今年度第9回目の総会は、十全総合病院(中村寿院長)のご尽力のもと開催されます。生活に戻すための医療がますます推進される中、生活に軸足を置いた医療をアイデンティティとする看護師の役割が重要であることから、当病院とこれまで関連の深い元日本看護協会長の坂本スガ氏(日本医療マネジメント学会副理事長)の特別講演等が企画されております。住民の生活を重視した地域医療推進に向けて、多機関・多職種が繋がることを心から期待しております。 今後は、疾病管理重視から生活支援強化へと移行し、社会的弱者ケアのためから、むしろ社会的弱者を産み出さないためへ大転換させていくことが重要です。いうまでもなく診断・治療は手段であって入院の目的ではありません。そもそも入院は、これまでの生活を継続するためであり、退院することが前提です。入院の目的を疾病管理ではなく自立生活支援として捉え、患者や家族の意欲を維持・向上しつつ退院後の生活をゴールとする、意識や体制の変革が求められています。患者が元の生活に戻るための入院であることを、医療者が理解すれば、治療内容は各々のQOLを支える真のニーズを把握・共有することが不可欠となります。私がこれまで発信してきた“入院前から退院支援”ですが、今回の診療報酬改定のキーワードになりました。昨今、退院支援・地域連携部門が“入退院センター”として機能強化が図られていますが、入退院を速やかにする役割にとどまらず、病院全体がQOL・QODを重視した生活に戻すことを目標に据えたチーム医療の実践に、ぶれないマネジメント機能を果たしていかなければなりません。 地域包括ケア時代において、ますます当学会の重要性は増しており、責任の重大さを感じております。皆様方のご理解もと、愛媛県はもとより全国に向けて発信できるよう、当学会運営に努めて参りたいと思います。どうかご支援ご協力の程よろしくお願いいたします。
 平成30年04月01日


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