第1回日本医療マネジメント学会愛媛県支部学術集会特別講演要旨
特別講演「医療安全とクリティカルパス」
国立病院機構 熊本医療センター 野村一俊

クリティカルパスの活用は、医療安全にも貢献している。処置、薬剤の統一・標準化により、処方や指示の間違いが減少する。医師の指示簿機能により、医師指示の計画的実施が可能になり、業務に専念できる。バリアンスのチェックにより異常の早期発見につながる。患者用クリティカルパスによる情報の共有化により、医療安全に患者と共に取り組むことができる。バリアンスの分析により、クリティカルパスの見直しの必要性の有無と共に医療安全上の病院体制の不備も指摘されることがある。 これらのことが行われるためには、プロセス・アウトカムの管理ツールとしてのクリティカルパスの原則に則った作成と運用を行う必要がある。又、病院全体でのクリティカルパスへの取り組みと使用率のアップを図る必要がある。 一方、クリティカルパスには落とし穴があることも認識しておく必要がある。クリティカルパスがあれば意味がわからなくとも指示・指示受け・実施ができる。又、患者状態が変化しているにも関わらずクリティカルパス通りの医療が行われる等である。これらのことは、クリティカルパスが電子化されるとより注意が必要となってくる。これらに対処するためには、院内研修などによりクリティカルパスへの理解を深めると共にクリティカルパスをステップ毎に作成するなどの工夫も必要である。
 平成22年10月10日

第1回日本医療マネジメント学会愛媛県支部学術集会