第1回日本医療マネジメント学会愛媛県支部学術集会一般講演要旨
一般講演「メディエーションについて」
今川整形外科医院 院長  今川俊一郎

【目的】愛媛県医師会(久野梧郎会長)は、県内の医療紛争減少を目的として、平成19年度より 「医療メディエーション」を取り入れ、優れた成果が認められたので報告する。
【対象と方法】愛媛県医師会の医師組織率は、極めて高い(開業医の99%、勤務医の77%)。 県医師会は、県内の医療関係者を対象として、医療メディエーター養成講座(医療コンフリクト・マネジメント研修会)を 年4回開催してきた。また、推進チーム「みかん」を組織して、地域医師会や医療機関に出向き、すべての医療者を対象に、 医療メディエーションの実際を、実技を交えて分かりやすく広報してきた。
【結果】現在、県内の医療メディエーターの数は約250名になっており、チーム「みかん」の出張講演回数は10回で、 その受講者総数は約1000名を超えている。愛媛県医師会の扱う医事紛争事案は年平均16件であるが、 平成20年以降は10件以下に減少している。
【考察】「医療メディエーション」とは、和田仁孝早大教授と中西淑美山形大准教授の提唱する、 「対話と気づき」をテーマとするコミュニケーションの理論と技法である。紛争現場のみならず、 ひろく一般医療現場における人間関係の修復をめざしている。広く普及することによって、 医療現場に医療の安全と質を保障する文化が醸成されることに繋がると考えられる。

平成22年10月10日

第1回日本医療マネジメント学会愛媛県支部学術集会