それは、高等部の3年間の色々な行事をまとめたものです。
(色々な行事のたびに先生方が、撮っていて下さったものを編集したものです。
彼女は、その当時を思い、度々そのビデオテープをみています。
そのなかには、卒業する皆さんそれぞれの夢が語られていました。
そのビデオテープに語られている彼女の夢は、下の2つです。
実際のこととしては、不可能です。しかし、本人はどうにかできるものと 思っています。
同級生の中に自動車学校に通っている子がいました。 (彼女が免許を手に入れたかどうかは知りません。) そのせいもあったのか多くの同級生が免許を欲しいと 思っているようです。
免許を持っている知的障害者がいるのでしょうか? 運転免許を持つことが可能な方もいるのかもしれませんが、 この障害がある方はまず不可能なのではないでしょうか。
少なくとも、彼女には免許は取れません。運動能力的にも
判断能力的にも、当然学力も劣っているからです。
もし、運転するようなことがあれば、事故ばかりでしょう。
その場その場の状況判断は正確ではなく、遅いのですから。
しかし、彼女は欲しいのです。できるなら、何とかしてやりたいとも思うのですが。
知能の程度は小学生(あるいは、それ以下)ですが、身体的には 普通の大人(平成10年6月13日で19歳です)なのです。 こんな夢を持っても当たり前のことです。 しかし、この夢も、かなえられない(?)夢なのです。
結婚して、お互いが協力して生きていくことも可能でしょうが、 2人でさえも一人前にはなれないでしょう。(一人前の男性が彼女を選ぶことは無いでしょうから。)
ただ結婚するだけなら可能ですが、実際の生活ができるようにはならないでしょう。
私としては「かなわないでいい」と、考えています。 2人で1人前になれるのなら叶えてやりたいものですが, (少なくとも今の状況では問題が多すぎます。)
今のところ、私たち夫婦が見れる限り、彼女の面倒を見なければならないと考えています。
その後のことは、兄(弟)に頼るしかないのでしょう。
しかし、みんなは、それぞれの夢に向かって一生懸命がんばっています。 そんな姿を見るたび、自分達の幸福を思うのです。また、同時に何もしないで生きているようにも 思えてくるのです。 彼らの叶うことのないかもしれない夢でも、我々は、大きな苦労も無く、あたりまえのように現実のものにしてきているのですから。
我々には当たり前のことでも、彼らにとては、重大なことなのです。
少しでも多くのことを学び、的確な判断ができ、社会の一員としての義務も果たせるように
しようとがんばってはいますが、目に見えるほどの進歩はありません。今後も変わることはないでしょう。
いつも奇跡(?)を夢見ています。