日本百名山の一つである「石鎚山」。愛媛労災病院からも毎日仰ぎ見ることのできる、わたしたちの象徴の山でもあります。このコ−ナ−では、はじめて登られる方への簡単な”しるべ”となれますように、石鎚山の登山道について紹介してみました。
次の図は、瓶ヶ森から石鎚山を望んだところです。
[成就コ−ス]
石鎚山ロ−プウェイを利用するコ−スです。従って、西条市方面からのアプロ−チとなります。毎年、7月1日には「石鎚神社のお山市」が行われ全国から数万人の信者が訪れます。宗教色の強い登山道ですが、古来より使用されてきただけあって、道幅も広く整備も万全で安全な登山が楽しめます。途中、3ヶ所の鎖場がありますが、自信のない方は捲き道を使うこともできます。(さらに1ヶ所、前社ヶ森に「試し鎖」がありますが、下りも鎖なので、初心者は行かないほうが無難)。成就社からの累積標高差700m、4時間程度の充実したコ−スです。ロ−プウェイは季節によって運行時間が異なりますので、下山の時間を計算にいれておかなければなりません。八丁坂は、帰りには誰もがヘバるところ。100m登りの余力を残しておいてください。成就には旅館があり、通年宿泊可能です。
成就社です。成就とは、大変縁起のよい名前ですが、今から約千三百年前、「役の行者」が石鎚を開山されたとき、修行を終えて下山の折り、ここから”お山”を最後に振り返って満足し「我が願い、成就せり。」と言われたことによるそうです。今は旅館が建ち並び、山中とは思えない登山基地となっています。
八丁坂の自然林です。秋は紅葉が見事です。成就社から緩やかな下りが続き、なにか、もったいない気がします。帰りのことを考えると気が重くなります。しかし、このあたりは、水晶が散乱していることで知られていて、運がよければ拾えるかも?帰りに疲れて機嫌の悪い彼女にプレゼントしたら、なにかいいことがあるかもしれませんネ。ここから鎖場までは、急登が続きます。
二の鎖場で、石鎚登山のハイライトです。これは上の方ですので簡単そうですが、中間部は傾斜が70度近くあり、結構、腕力に頼らなければならない箇所もあります。特に雨天の時はすべりやすいので、無理は禁物です。みんな平気そうに登っていますが、案外、墜落事故も数多く起こっているのです。写真ではバカみたいに両手を離してピ−スしている会員がいますが、危険ですので絶対にやめましょう!
そして、頂上です。石鎚山の頂上は3つに分かれていて、真ん中の天狗岳が1982mの最高点です。宗教上の頂上は、小屋と祭殿のある弥山です。もう一つの南尖峰は天狗岳を越えてゆくのが一般的ですが、ここまでは人もまばらで石鎚山の果てといった趣きがあります。天狗岳付近は、断崖絶壁の縁を通りますので要注意です。さて、頂上の岩場からはなにが見えるか、それは来てのお楽しみということにしておきましょう。
[土小屋コ−ス]
土小屋までは立派な車道が通じ、松山からはバスの便もあって大変便利です。土小屋には各種宿泊設備も整っておりハイヒ−ルの女性も闊歩しています。ここから頂上まで、累積標高差500m、2時間のハイキングコ−スで、成就コ−スよりもはるかに楽です。成就道とは二の鎖直下で合流します。コ−ス上、特に問題点はありませんが、北斜面ルンゼのトラバ−スですので、積雪期、残雪期はアイゼン、ピッケル必携です。
土小屋付近からの石鎚山は、槍ヶ岳のような尖峰で魅惑的です。登山道は常に改修されて快適で、ところどころベンチも設置されています。右手には美しい瓶ヶ森が手招きしています。ツヤツヤしたイシツチササの輝きもまばゆく、あっという間に二の鎖場に到着します。なお、これらポピュラ−な2コ−スの他にも、面河道や西の川道(天柱石が見られます)、堂ヶ森や瓶ヶ森への縦走コ−スなどがあり、下山路に組み合わせて使ってみるのも、また面白いでしょう。