昨年10月、私たちは「二つ岳〜権現越」縦走を行った。前夜、別子山村で一泊しても、肉淵から床鍋下山まで、たっぷり11時間、一日コ−スであった。このコ−スは四国でも十指にはいる険路として知られているが、最近のガイドブックでコ−スタイムについて記されているものは少ない。これから縦走しようとする方々のために、手持ちの文献を参考に所用時間をまとめてみたので、まずご覧になっていただきたい。
@ → |
4:10 |
1:30 |
2:10 |
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計7時間50分(着) |
A → |
2:15 |
2:00 |
1:00 |
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計5時間15分(着) |
B → |
3:00 |
1:00 |
2:00* |
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計6時間(実) |
C → |
1:30 |
2:30* |
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計4時間(着) |
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D → |
2:30 |
2:00 |
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計4時間30分(実) |
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E ← |
1:00 |
1:25 |
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計2時間25分(着) |
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F → |
2:10 |
:50 |
1:00 |
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計4時間(着) |
G → |
2:35 |
1:10 |
2:00 |
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計5時間45分(着) |
▼・・→方向は縦走の方向、*印は権現越までの時間を表す
▼・・(着)は到着時間より逆算したタイム、(実)は実働時間で記載されたもの。
▼・・山岳風景は新居浜市よりの展望で、「カシミ−ル」を用いて描画した。
▼・・最初の数字は文献番号である。それは、次の通り。
@ 「四国山岳夜話 北村淳一郎著」(縦走は昭和24年)
A 「落葉松 10号 住友化学登山部」(縦走は昭和46年)
B 「四国路の旅 松長晴利著」(昭和39年 刊)
C 「山の足跡 三谷啓保著」 (昭和61年 刊)
D 「赤石の四季 伊藤玉男著」 (平成8年 刊)
E
「愛媛の山 HP」 (平成11年5月23日 縦走)F
「やまじ風 HP」 (平成11年11月11日 縦走)G
「愛媛労災病院山の会 HP」(平成11年10月10日縦走)
時代が古い場合は、本当の「ヤブコギ」を強いられたのであろう6〜7時間を要しているが、最近は4〜5時間というのが相場のようである。Eは、その中でも恐るべき健脚タイムであり羨ましい限りであるが、われわれ中高年には真似できそうにない。実際には、これに昼食時間と二つ岳までの時間(2時間)と権現越からの下山時間(2時間)を加えなければならないので、総計9〜10時間はかかるであろう。肉淵と床鍋も5kmほど離れているので、両方に車デポでもしないと、さらに1〜2時間、別子山村までのアクセスもいれると、まさに「星を戴いて家を出て、星を戴いて家に帰る」なのである。もっとも恐いのは下山時に日没を迎えてしまうことである。権現越から床鍋は、それでも単調な山道に終始するのでヘッドランプでもなんとか可能だが、二つ岳から峨蔵越は岩場の連続なので困難となるであろう。かの伊藤玉男氏でさえ下りることができずにビバ−クを余儀なくされたことが「山の話」に興味深く記されている。
まあ、これ以上の判断は各自にお任せすることにするが、東赤石山南面の「赤石山荘」(暗くなると見つけにくいかも)で一泊して、次の日、銅山峰まで縦走を続行するか(これが一番、理想的、赤石連峰全山縦走です!)、前日(あるいは下山してから)、別子山村の「筏津山荘」や「余暇センタ−」に宿を確保されておくのをお奨めいたします。
くれぐれも慎重に行動して、充実した「峨蔵山」縦走をお楽しみくださいネ!