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この頃の現役パート?(多分YかZ)
S47年卒 井手 浩一

 浜辺先生が八幡浜に去られてはや四カ月。松山に居ないOBは、果たして現在の東高吹奏楽部はどうなっているのか、変わったのか変わってないのか気にしていることだろうと思います。

 結論から言えば(雰囲気は)大きくは変わっていない、但し練習スタイルは相当に変貌しつつあるということでしょうか。休みの日にお邪魔すると、わたしは大抵図書館に行きます。合奏や分奏があることもあればそうでないこともありますが、必ず何処かのパートの音がしています。低音パートにアルトクラなんて渋い組み合わせのこともありますが、やることは一緒(縦と横の確認)ですから、黙って聞いて、もしアドバイス出来ることがあれば言って帰ります。第二教棟ではなかなか分かりにくいアラが図書館では結構表に出ますからね、この習慣はコンクールまで続くと思います。

 合奏の時はかなりの時間を割いて呼吸法(の統一)の確認をします。リーダーのカウントに合わせて静かな息の音が響き・・それからおもむろに右手を上げて人差し指で虚空の一点を→→と、まるでどこやらの宗教団体みたいですが、息を吐き出す方向を全員で統一して、それからマウスピースだけを付けて・・とあら不思議。部屋全体が足元から柔らかく振動します。音がムクムクムクッと立ち上がります。おっと思います。この響きがなかなか曲まで続かないのが辛いところです。でもそのうちきっと永続する響きに深化すると思います。

 阿久津先生は大変なアイデアマンですね。毎回毎回、今日はどんな工夫をされているのかと楽しみです。ある日の合奏前に、椅子に一つ一つストローを配っていた時は笑いました。これは今からのパーティの準備・・ではなくて、勿論前述の呼吸法の統一のためです。ちなみに生徒に「阿久津先生の授業、厳しいか?」と尋ねたら「やるべきことをやってない時は叱られます」とのことでした。昔の自分を棚に上げて「東高生はそうじゃないといかんよな」と言ってしまいました。

 ダフニスは手ごわいです。やればやるほど難しさが分かります。六年前もそうでしたが、なかなか尻尾を掴ませてくれません。現状を一言で表現するならば、春先から響きを重視する練習が先行して来たから、まだ縦も横も合ってない、でもいずれ今までには見られなかったスケールの大きい表現に結び付く可能性を秘めています。

 今朝(七月六日)もとあるOBから電話が掛って来て、「イデさん・・現役、どうですか?」と。それに対しては「これからの期間でどっちにも転ぶんじゃないかな」と答えました。全く五分五分でしょうね。最終的には、外野が何を言おうが、現役の奏者がどれだけ執念を持って練習するかに掛っている。

 曲が難しい分、みんなの顔も厳しい、その顔を見ているとお世辞なんて言えません。出来てないことは出来てないとハッキリ言うし、家へ帰ってからメールで注文を付けたりもします。でも、それは、彼らは必ず耳を傾けてくれるだろうという信頼感があるからです。

 勝負は時の運。でも、今年は例年以上の真剣さでここまで準備して来たのだから、阿久津先生の棒を信じて、それから、この曲を君たちのために選んで去って行かれた浜辺先生を信じて、残りの期間を過ごして貰いたいと思います。



 

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