私の“万歩計”
                                   〜歩き、あるいて5千万歩〜
                                       マナベ小児科

         真鍋豊彦

 人間は一生の間にどれくらい歩くのか知りませんが、私は10年ほど前から毎日1万歩以上歩くことにしています。雨の日も、風の日も、日曜日はもちろんお正月休みも必ず歩きます。一番困るのは学会などに出席し、会場に釘付けになるときですが、そんなときは朝早く起き、宿所を起点に周辺を歩き回るか、学会が終わってから歩きます。

歩くときに必ず身に着けているのが、私の“万歩計”と称している歩数計です。歩行記録をとるためには万歩計は欠かせません。使用中の万歩計は4個目ですが、1週間分が一日単位で記録されますので極めて重宝です。この万歩計以外に、自宅、診療所、自動車の中に別のメーカーのものをいつも用意しています。

私は朝起きてから夜寝るまで、入浴のとき以外は万歩計を身に着けています。「肌身離さず」と言えば大袈裟ですが、ときには着け忘れたりします。そんなときは一種のパニック状態になることすらあります。それまでに1万歩以上歩いていることを万歩計で確認している場合は別ですが、そうでない場合は、万歩計が見つからなければ、何千歩歩いていてもノーカンウントになり、別の万歩計で初めからまたカウントし直さなければならないからです。これは自分との約束ごとです。

 そのパニックに先夜見舞われました。

 医師会急患センターに出務した日のことです。入浴してから出務、途中で万歩計がないことに気づき、すぐに車に備え付けの別の万歩計を着けました。そのときは浴室で着替えたときに着け忘れたのだろうと軽く考えていました。

11時過ぎに帰宅してから浴室へ直行、籠の中を探しましたが見当たりませんでした。さあ大変、そこかしこ、片端から探しました。30分以上も探したでしょうか、ついに諦め、机の前の椅子に座ろうとして椅子を引き寄せたところ、ありました、ありました、椅子の上に。向こう向きの黒い椅子、黒くて小さな万歩計、まさかのところにありました。盲点でした。

このようなことはそれ程多くありませんが、旅先で万歩計の着け忘れに気づき、仕方なく新たに購入したり、ゴルフ場でホールアウトするまで落としたことに気づかなかったり、途中で電池切れになり、初めからカウントし直したり、などなど、色々とありました。

7月末に5千万歩を記録しました。これは地球一周、4万キロに相当します。初めから地球一周などという目標を設定したのではありませんが、1カ月経ってから毎日1万歩を目標に定め、ひたすら歩き続けました。途中、2回の入院手術のため中断しましたが、術前に79カ月、術後はすでに40カ月、連日歩いております。

以前はゴルフ、最近はよく山歩きをしますが、ゴルフの場合はよく歩いても2万歩以内です。山歩きの場合は、感覚的には5万歩くらい歩いたと思っても、最高が3万6千歩です。

私の一日は、万歩計を外し、カレンダーにその日の歩数(1万1千歩未満は1、それ以上は千歩単位で、0.1ずつ加算)を記入して、やっと終わります。

手術で中断、術後再開、いつまで続くかわかりませんが、私はこれからも毎日、“万歩計”と共に“歩かせていただきます”。 

“早朝万歩”の実践者、故林 健二先生の在りし日を偲び、心からご冥福をお祈りいたします。 合掌
                                                       (平成15年10月
日記)