万歩、万歩、1億歩
マナベ小児科 真鍋 豊彦
はじめに
1億歩、気が遠くなるような歩数である。
25年1月26日、1億歩達成、平成5年5月から毎日1万歩以上を日課とし、“雨ニモマケズ、風ニモマケズ”、“お正月もお盆もなく”黙々と歩きつづけた。20年足らずで1億歩、平均すると1日に1万4千歩、よく歩きつづけたものだ。
尤も、前立腺がん確定診断と全摘手術のため半年間に2回入院、約2ヶ月あまり中断した。手術といえば数年後、下咽頭腫瘤摘出術を受けたが、手術当日早朝起床、檻の中の熊よろしく個室内を歩き回り1万歩、全身麻酔手術に備えた。手術翌日から退院まで、点滴器具をつけたまま院内廊下を歩き、1万歩は途切れることはなかった。ラッキーだった。
連日の万歩は主として平地であるが、10年ほど前からは山歩きが多くなった。
歩数を距離に換算すると、成人ではざっと7掛け、1歩0.7メートルだというが、自分の場合は8掛けである。山歩きでは、この換算は成り立たないが、8掛けとすると5千万歩は4万キロ、地球1周に相当する。1億歩はその2倍、地球を2周したことになる。
最多の歩数
六甲全山縦走:須磨浦公園から宝塚まで全長56キロメートル、日本で最も長い縦走路といわれている。早朝6時出発、宝塚に着いたのは午後9時、真っ暗闇の中をただ独り、15時間の登り下り、歩数計(万歩計)は7万5千歩を示していた。宝塚の夜景が目に入る頃にはまるで行路病者のような歩みとなった。アップダウンの登り総計は3千2百メートル余、北アルプス剱岳に相当する。
前日、山道探索のため布引の滝から市ケ原経由で神戸市立森林植物園間を往復、3万8千歩。2日間の合計は11万3千歩であった。
8日間連日2万歩以上
南アルプス縦走:3千メートル峰の連なる塩見岳・荒川三山・赤石岳・聖岳・光岳、8泊9日山小屋泊まりの縦走は、夢のまた夢であった。天候に恵まれ予定通り踏破した。合計23万歩、1日平均2万8千歩、やれやれ。
万歩計紛失、電池切れ、汗で故障など
万歩計紛失、破損・修理、電池切れなどで頭を痛めたことがある。
最も困ったのは、近くの山に登ったあと、立ち寄った温泉場の便槽に万歩計を落としたときだ。探し出す術もなくションボリ。帰宅後、予備の万歩計をつけ、足取り重く歩きなおし1万歩。最近は事前チェックよろしく、この種の難から逃れている、と言いたいが、外した万歩計を置き忘れ、うろたえることがある。ああ、ああ。
国が定める一日平均歩数の目標値
「21世紀における国民健康づくり運動(第2次健康日本21)」が25年4月から始まる。34年度を目途に、日常生活における歩数目標として、以下の数値が設定された。
20年前からの一日1万歩は、30年以上先取りしたことになる、と言えるかもしれない。
20歳〜64歳
男性9,000歩 女性8,500歩
65歳以上
男性7,000歩 女性6,000歩
終わりに
独りよがりかもしれないが、毎日できるだけ多く歩きつづけることは、年齢を問わず、健康の保持に利する所が大きいと思う。「歩いている」のではなく、「歩かせていただいている」という気持を大切に、これからも歩き、登り下りしたいと願っている。妄言多謝。
(平成25年2月24日記)