輝安鉱(別子)

 

 

 輝安鉱といえば「市之川鉱山」と相場が決まっているが、愛媛県ではそのほかに、松山市南方の「弘法師鉱山」「万年鉱山」や四万十帯に属する「嵐鉱山」、県外では徳島県の「牟岐鉱山」や「相生鉱山」、高知県の「日吉鉱山」など採掘の規模は別にしても、結構、その数は多い。しかし、含銅硫化鉄鉱床に腑存する輝安鉱脈となると「別子鉱山」や「優量鉱山」などわずかに過ぎない。キースラガー鉱床に、後から第三紀熱水鉱床が嵌入して、輝安鉱や、安四面銅鉱、輝安銅鉱などが生成された。

 この標本は、「別子銅山」の輝安鉱である。「住友別子鉱山史」には「・・・32Lの尖滅点から千数百m離れた探通 1.000m(14L準)の正断層沿いには輝安鉱を産する。」と記されている。これが、その場所のものかどうかは、はっきりしないが母岩の中に鉱染状に輝安鉱が散在している。皆川先生にもお見せしたが、「昔はズリからも拾えた。結構、打ち捨てられていましたよ。まあ、間違いないんじゃないですか。」とのコメントを戴いた。購入品であるので、これ以上は議論のしようもないが、まあ、信じるしかないだろう。一方、採集に熱心な方で、別子地域のズリにて輝安鉱を見つけた場合は、だれかが市之川のを捨てたんだ、と打ち捨てる前に、一応は別子産のものもあることを考慮していただきたいと思う。