自然銀

  

 

 別子銅山産の「自然銀」である。斑銅鉱の中の小さな銀白色の輝きに過ぎないので、写真がいまひとつである。しかし、光にかざすと明らかに周囲の反射とは異なった高貴な輝きを呈している。別子銅山では、銅精鉱中に 710g/ton 程度の銀を含む程度であるが、その分布は普遍的で、しかも大量の出鉱であったから、稼行当時は相当の金銀資源となり得た、と「日本地方鉱床誌」には記されている。「はねこみ」部分には、特に金銀が凝縮し自然金や自然銀を見ることができるというが、なかなか肉眼的に確認できるものは稀少である。小生も、別子、佐々連、白滝の斑銅鉱を10点ほど保有しているが、肉眼的に確認できるのは、この1点のみである。この標本は稼行当時の標本でまっくろに変色していたため、ブラシで磨いたところ、たまたま剥がれ落ちずに残っていたもので、世に言う「ヒゲ銀」とか「箔銀」というより小さな塊状を呈しているのは、ブラシによる磨耗も加わっているからかもしれない。同じ銀白色を呈するものにカロール鉱などもあるが、別子での報告はいまのところないので、ここでは「自然銀」として記載しておくが、最終的にはX線蛍光分析やEPMAなどが必要であろう。

 「自然金」に至っては、残念ながら手持ちの標本で確認されるものはない。せめて古来有名な「銅山川」の砂金(これも根源的にはキースラガーに由来するものと考えられている。)で代用しようと、平成17年春の「愛媛石の会」巡検では闘志満々で粘りに粘ったのだが、結局、一粒も採れなかったのは、やはり「欲の皮」が突っ張りすぎていたために相違ない!