鋭錐石

ehime-15a

ehime-15b   ehime-15c

 

 愛媛県宇和島市東方に位置する、高月山や鬼ヶ城山付近は、今から約1200万年前、後期白亜紀の砂岩・頁岩層に嵌入した第三紀の花崗岩体から出来ている。有名な滑床渓谷の「雪輪の滝」も、巨大な花崗岩の一枚岩がその美しさに更なる彩りを添えている訳である。

 花崗岩には、大小のペグマタイトの晶洞が発達するが、水晶や電気石に混じって、愛媛では珍しい「鋭錐石」を時折、採集することができる。ちなみにこの標本は鬼ヶ城山産。鋭錐石はルチル、板チタン石と同質異像のチタン酸化鉱物で普遍的な鉱物であるが、大きさはいたって小粒。ジロー君と比較して貰えばおわかりのように、大きくても0.5mm程度、通常のルーペでも形を確認するのが精一杯だが、実体顕微鏡でみると、その神秘的な造形美が明瞭に浮かび上がる。表面には条線が発達し鋼灰金属光沢が強く、ルチルと同様に角度を変えてみると赤褐色に内部が透けて見える。両側が鋭く尖った八面体が一般的だが、何個かが癒合しているものもある。産出の状態も、水晶の先端にゴマ粒のようにくっついているものもあれば、電気石に突き刺さったような場合もある。そんなさまざまな形状を、晶洞内で観察したいのはヤマヤマなれども、大きさが余りにも小さく、石英などに埋もれている場合もあるため、晶洞内部を粉砕、分離した形で見つけるのが一番てっとり早いだろう。

 

 「愛媛石の会誌」(第4号 昭和59年)には、高知県幡多郡大月町の「鋭錐石」について井上勝氏の紹介文がある。一部を抜粋させていただくと、「・・水晶は約3cm大で先端部がやや透明で中心部にアワ様のものを含んでおり、その錐面上に鋭錐石が付着している。鋭錐石は最大のもので0.5mm、色は青黒色でやや光沢があり両錐形をなし、横に条線が入っており、大小約50個が、一列に近い状態で0.8cmにわたって集中している。・・。同じ時代の花崗岩からなる宇和島市の高月山でも、最近鋭錐石が見いだされたときくが、産状は異なっているようだ。・・」とある。

 もし、大月町産の水晶をお持ちであれば、もう一度、詳細にチェックされるといいだろう。

 

LIN_005

   back