輝銅鉱
輝銅鉱は、高品位鉱の代表格・・・80%あまりの銅分を含み、斑銅鉱の60%、安四面銅鉱や黄銅鉱の40%を遙かに凌いでいる。黄銅鉱が水分の影響を受けて生じる二次富化鉱でキースラガーでは上部の酸化帯に多く見られるという。ただし、いまだ輝銅鉱の塊にはお目にかかったことがない。
この標本は別子山村(現新居浜市)保土野の紅簾石を含む石英脈に生じた局所的なもので、マイクロマウントがよく似合う。すでにHPで紹介している「チタン鉄鉱」に随伴して産出しており、輝銅鉱のほか、孔雀石もあちこちに見られる。岩石に少量含まれていた黄銅鉱などが酸化されて生じたものであろう。ルーペでみると、まさに「消し炭」というのがピッタリな真っ黒い物体であるが、光の反射具合をうまくすると青光りする錆も見られ、とても神秘的である。別子銅山でも露頭直下の酸化帯では大量に産出したというが、いったいどのようなものだったのだろうか?一度、この目でみたかったものだ。一方、ズリ場に転がっている、表面が赤茶色にさびた低品位キースラガー鉱石をいくら割っても輝銅鉱は現れない。輝銅鉱生成には、やはり高品位鉱石と長い時間などの厳しい条件が必要なのだろう。