鉄礬ザクロ石

   

 

 愛媛県関川名物の鉄礬ザクロ石である。角閃岩に伴い、河原にもゴロゴロしているので、この地域では“ふつう”の石である。大きいものは、直径数cmにも達して壮観であるが、母岩が硬いので、ハンマーで取り出そうとしても、ほとんどはザクロ石自体が割れてしまって美しい十二面体や二十四面体の完全結晶体を手にすることはなかなか難しい。河原での採集では、特に単体で取り出すことは困難であろう。穴場は上流の林道工事現場である。関川の上流は、五良津角閃岩体の核心部に通じており、河又を過ぎたあたりから林道の周辺は、ほとんどザクロ石の入る角閃岩が露出している。林道工事が行われておればラッキーである。ユンボでおがされた母岩からコロコロ転がり落ちたザクロ石が道の辺の至る所に散乱しているからである。写真上段のものは、コロコロ転がり落ちる寸前のザクロ石で、十二面体構造がよくわかる。ただ、不純物が多く、透明な美しいものではない。

 それに比べて写真下段のザクロ石は、径1cmと小さいながら透明感のある稀少なものである。光にかざすと、深い鼈甲色を呈し内部が透けて見える。茨城県山の尾産には及ばないが、これならば一月の誕生石ガーネットと説明しても多くの人が納得してくれるだろう。天狗が出没するという寂しい林道脇で、転がる無数のザクロ石を拾い続けて、やっと一個見つけた苦心の採集品である。

 今、五良津は平成16年の台風による水害で林道が寸断され、車で遡ることは困難であると聞いている。鉱物マニアのメッカだけに、一日も早い復旧を願ってやまない。