魚眼石

 

 美しい魚眼石の結晶である。ガマの中を覆い尽くすように半透明のツヤのある錘状や柱状結晶が群生している。色合いは微量元素の差によって白色からピンク、ブルーまで多彩であるが、ここの産地は概して白色か透明である。また、他の輝沸石やポドリオ石との共存もしばしば見られる。魚眼石とは、見る方向によって独特の濁った鈍的輝きが、魚の眼にそっくりであるため付けられた名前というが、少しイメージしにくいと思うのは私だけであろうか?ある人は、濁った魚眼石ではダメで、透明なものを実際に観察しなければわからないとも言っていたが、透明な美しい魚眼石にはなかなかお目にかかれないのが現状である。また同時に産出する方解石の結晶とも紛らわしく、同定はビギナーにとっては以外と難しい。

 久万町には町名の由来となった有名な饅頭がある。その老舗の店には饅頭と並んで素晴らしい魚眼石の結晶が置かれている。以前、饅頭を買ったドサクサに「ぜひ、譲ってくれ!」と粘ったのだが、「いままで何人にも、そう懇願されているが、先代からずっとここにある物なのでお譲りできない。私にはよくわからないけど、本当にきれいな石ですね。」と軽く一蹴された。