褐簾石

  

 

 馬刀潟は、もともと「白岩鉱山」と呼ばれ、領家帯のカコウ岩類ペグマタイトに包胎する含放射能鉱床である。戦前は長石や珪石を目的に採掘されたが、その頃より、すでに放射能鉱物について知られており、医療面に利用されたという。昭和20年にはいって、軍事目的で本格的に探鉱がなされたが、じきに終戦。しばらくは進駐軍により管理されていたが、昭和30年にいたって「四国ウラン開発」を設立し、主にトリウムやウラニウムなど核物質の、平和利用を目的に採掘が再開された。愛媛県に行幸された天皇陛下にも鉱石が献上されたというが、採算がとれず2年あまりで中止。その後は放置されたままとなっている。鉱石は、フェルグソン石、褐簾石、変種ジルコンなどを主体とし、燐灰ウラン鉱ついては「四国鉱山誌」に記載はあるもののいまだ未確認という。ズリが海岸に捨てられていたため比較的鉱物を採集しやすかったというが、今はズリもほとんどなく、なかなかお目当てのものには行き当たらないのが現状である。

 褐簾石はセリウムやイットリウムなどの希土類をふくむ緑簾石の一種で、ウラニウムも少し含むため、弱い放射能を帯びている。わが愛用のガイガーカウンター(ベータちゃん)を近づけると、あっと言う間に、針が振りきれる。昔は10cmにも及ぶ板状、柱状結晶が採れたというが、今は、この標本程度でも採集できればラッキーであろう。表面は一部、褐鉄鉱に変わっているので褐色に変色しているのも特徴である。ここで採集を行うには満潮の時間を避けていかなければいけない。それと、夏場は日陰もなく照り返しもきついので、日射病を防ぐため、帽子や日傘などは必携品である。