今治城

 

 

 愛媛県今治市の今治城は、藤堂高虎公が「からこの地をめる」の気概を込めて築造した天下の名城である。残念ながら太平洋戦争の空襲で焼失したが、近年、鉄筋コンクリートで再建され、高虎公の銅像と共にその威容を周囲に輝かせている。切符を買って中に入るとその中2階とも言うべき場所に自然科学分野の標本室がある。鉱物、魚介類、昆虫類などの標本も豊富でちょっとした隠れた穴場的存在である。

 鉱物分野では、寄贈品による東予地域のキースラガー標本もまずまず充実していて見応え十分である。佐々連鉱山の斑銅鉱や、別子銅山の黄銅鉱などもやや黒ずんでいるとはいえ標本も大きく立派なものである。精錬に使用された坩堝や荒銅なども鉱山盛んなりし往時を偲ばせてくれる。

 

 しかし、なんといっても本館の目玉は、高縄半島のペグマタイトとその希元素鉱物の展示品であろう。

 

 

 有名な「馬刀潟」のフェルグソン石、波方石、褐簾石などの良質の標本が並んでいる。ちょっと照明が暗くて写真も鮮明ではないが、鉱物の放射能による長石の赤変現象やハロなども身近に観察することができる。今はなかなか採集できない鉱物だけにしっかりと眼に焼き付けてほしい逸品である。

 

 最後は、極めつけの「オーヤマライト」である。小さいながら、その特徴の陣笠状の形態もなんとか観察できる。そのジルコンが採れたという「入日の滝」はどういうところなのであろうか?そこに辿り着くには道なき道をケモノのように這い上がらなければならないというので、ちょっと自分では採集できそうにもないが、ジッとその鉱物を見つめながら、今はほとんど死語となってしまった「大山石」のロマンに思いを馳せてみるのも一興であろう・・・

 

 しばらく遊んでから外に出ると、澄み切った秋の空がしみじみ眩しかった。なにか面白い鉱物が採れそうな気がして、いまから「馬刀潟」にでも出かけてみようかと久しぶりに嬉しい気分になった。