愛媛県立博物館

 

 愛媛県松山市堀之内にある。愛媛の鉱石、岩石類はもっとも充実しているから、来松の折りはぜひ見学していただきたい。愛媛県民自慢の博物館である。場所は松山城内、もうすぐ移転する競輪場の南西部。県立美術館に隠れてちょっとわかりにくい。おまけに図書館と建物を分け合っているから、初めての人は県立美術館で尋ねる方がはやいかもしれない。しかし一歩、足を踏み入れると素晴らしい愛媛の鉱物たちが迎えてくれる。まず正面には輝安鉱の美晶が4点。黒ずみもまったくなく銀白色に輝いている。しばらく見とれてしまう美しさである。この恋人に会うために、私も何回、ここを訪れたことか!

 輝安鉱の次は、別子をはじめ県内の鉱山から採掘された銅鉱石のかずかず。斑銅鉱、黄銅鉱なども一通り揃っているので参考になろう。大きな孔雀石は特に印象的である。石鎚山や市の川の水晶、槙野川のピンクダトー石や各種沸石類は、ダイナミックな色合いと大きさで子供達に”大うけ”である。

 並びいる多くの鉱石類のなかで、わたしのもっともお気に入りは、東赤石山系、五良津の「クロム透輝石」である。褐色のカンラン岩を基調として、緑色のクロム透輝石や紫色の菫泥石が入り交じる様は「赤石の妖精」の名に恥じない美しさである。愛媛の石の中で、最もチャーミングなものの代表格であろう。来るごとに垂涎とため息で眺めていたが、平成13年春、遂に赤石のある場所で採集することができた。これからは心の余裕を持って見ることができ、ほっとしている。透輝石のとなりにあるチタン鉄鉱やルチルも採集のためのよい参考になるだろう。愛媛県には、「愛媛石の会」や「愛媛地学会」など大学と市井の研究者やコレクターを結ぶ研究会が活発である。本博物館の標本の充実度も、それを反映しているもので、これから鉱物の世界に入ろうとするビギナーにとって正に”干天の慈雨”的存在である。ここで販売されている文献資料「愛媛の自然」(地学その1、岩石、鉱物)もあわせてお勧めしたい。