黄銅鉱

  

 

 佐々連鉱山、稼行時代に採取された鉱石である。雲母片岩の母岩に混在して黄銅鉱が層状に観察される。鉱石には著しい層内褶曲が見られ変性度の高さを物語っている。黄銅鉱の品位もなかなかのもので、20%内外の銅含有量を有すると思われ、表面は、黄銅鉱特有の暈色を呈し、往古から「トカゲハク」「ナタネハク」と呼ばれる美しいものである。佐々連鉱山は、別子本山が終末の鉱況不況に喘いでいるとき、それを補う有力な“助っ人”鉱山であった。「佐々連ヒ」をはじめとして「金泉ヒ」「金砂ヒ」「金立ヒ」「金剛ヒ」など鉱床名に「金」がつくのも面白い。「金泉ヒ」は、昭和28年に探鉱により開坑された有力な新鉱床、「金剛ヒ」は、露頭を有しない完全な潜頭鉱床で、付近のさらなる潜頭鉱床の発見に一縷の望みをかけて積極的な探鉱が行われたのであった。しかし昭和47年、別子本坑が閉山、最後まで踏ん張っていた佐々連鉱山も、昭和54年、遂にその栄光の歴史を閉じた。今は残る鉱石のわずかな輝きに、当時を偲ぶだけである。