東平全景(明治後期) 

 

 

小生が所有する東平の絵葉書の中でもっとも古いと思われる一枚である。

東平娯楽場(明治45年竣工)は未だなく、明治42年に新築された住友病院もみられない。

其処にあるのは、明治38年に住友病院東平出張所として開設された診療所の姿である。

診療科目は、内科と外科であったと伝えられている。はたして入院設備はあったのだろうか?

このことから、この絵葉書は明治38〜42年の東平の勇姿であると推測することができる。

斜面に並ぶ茅葺きの東平社宅はまだ真新しく、東平接待館の優雅な姿も認められないようだ。

中央のインクラインを登り詰めた左方、選鉱場上に覗く五つ窓の煉瓦造りの平屋が保安本部である。

第三変電所の「東平配電所」として明治37年頃建設され、以後、その用途も多様な変遷を辿る。

現在も、銅板レリーフ作成などを体験できる「東平マイン工房」として再生、活用されている。

第三地区にある変電所跡とともに、当時を偲ぶ貴重な建造物遺構であり、大切に保存してゆきたい。

                  新居浜観光協会HPより転載。