東平第三全景(明治後期?)
NO.5の採鉱課建物を第三通洞上部から撮影した絵葉書である。こちらが裏玄関にあたるという。
したがって、右手、茅葺き建物の向こうが第三変電所、奥に見える平坦な頂きが「一の森」である。
採鉱課の手前には、トロッコ用電気軌道車の姿も見える。左端の土塁は、火薬庫の被覆用であろう。
上は、違う絵葉書に見るステーションの様子。人員用トロッコが通洞に向かって正に出発しようとしている。
夥しい補強用の坑木も積み上げられている。坑木はすべて赤松材。坑内では上下逆の“逆木”として使用する。
坑内はすでに黄泉の国。物事は現世とは逆さまであると信じられていたからだというが、物理的根拠もあるらしい。
電気軌道車の導入は明治38年。東延斜坑底〜東平選鉱場間を、米国製の機関車を購入して、木製鉱車を牽引した
第三通洞から運び出された鉱石は、採鉱課の前を通り、ふたたびトンネルを喜三谷へと抜けて東平選鉱場にいたる。
これは、トンネルを抜け喜三谷にかかる「福井橋」を渡るトロッコ電車の勇姿。線路の状況がよくわかる。
現在もこのあたりまで車で侵入できるが、草木が繁りズリの堆積も進んでこれほど綺麗な景観は残っていない。
採鉱課の美しい建物も、昭和初期の写真では長屋風に建て替えられてすでになく、20年余りの寿命であった。