便秘症について
便秘とは排便が順調に行われない状態をいいます。逆に便秘でないのは、排便が規則正しくあって、ほれぼれするような色、形、柔らかさをしていて、排便後にすっきりした爽快感があるような状態をいい、苦痛を伴わない排便を意味します。2〜3日毎でも苦痛がなければ便秘症ではないことになります。
便秘は有害物質をためこみ罪が重く、いろいろな症状や病気が出てきます。お腹がはる、おならが多い、げっぷ、むねやけ、口臭、舌にこけ、疲れやすい、頭重、肩こり、気分不良、不眠、じんましん、肌荒れ、にきび、体臭など多くが関係します。
便秘と関係する生活習慣病には、いぼ痔、切れ痔、痔瘻、大腸がん、高血圧、動脈硬化、脳卒中、心臓病などがあり、老化も促進するといわれております。
便秘の種類
1、器質性便秘(症候性便秘):大腸がん、大腸過長症、腸管の癒着、大腸ポリープ
2、機能的便秘(排便機能の失調)
(1)一時性便秘(急性便秘):転勤、旅行、転居、進学、就職等で環境が変わり、それがストレスとなって失調する。
(2)習慣性便秘(慢性便秘)
弛緩性便秘:大腸が下垂して内容物を運ぶ運動が低下するため便の通過が遅くなります。お年寄りに多く、便秘の半数以上を占めます。
直腸性便秘:直腸やその手前では便の存在を脳へ伝える神経があります。便意感をがまんする生活習慣があると、神経が「せっかく伝えているのに自分は必要ないのか」と働く意欲を失い、さぼるようになります。次第に感覚が鈍くなります。便があっても感じなくなることによる便秘です。排便がゆっくりできない多忙な人や主婦、学生、生徒がなってゆきます。
ケイレン性便秘:精神的ストレスが脳に伝わり、自律神経を介して大腸に緊張を及ぼし、腸がけいれんして、あちこちに「ひょうたん」のくびれ状の狭いところが生じて便の移動を止めます。便はうさぎの糞状となり腹痛や排便の苦痛を伴います。
便秘対策
1、早めの起床:朝食をゆっくり十分にとるようにする。胃結腸反射といって、胃に食物がたくさん入ると、胃から大腸に反射神経がはたらき、大腸がたまっている内容物を排泄しようと動き始めます。朝方この反射が一番強く生じます。この作用を利用しましょう。よく朝の多量の水といいますが、この反射による排便に期待してのことです。
2、繊維の多い食べ物を:肉類や動物性たんぱく質にかたよった食事ににしない。野菜や穀物、果実の繊維は水を含む性質があり、便がふくらんで量が増して腸の動きをよくします。そら豆も皮ごと食べましょう。
3、スポーツ・運動をしましょう :腸の運動を促進します。運動のあとの水分の摂取も多くなります。スポーツ選手は便秘しない。
4、便意感が生じたらがまんしないで、神経に「ありあがとう」と言って急行しましょう:排便の知覚神経を衰えさせない。
5、精神的ストレス対策 :腸の運動抑制と腸の緊張を緩和させる。
6、何といっても水:下痢は水分が過剰です。極端に言えば洗面器一杯の水を飲めば下痢するでしょう。そうならない範囲でしっかりきれいな水を飲みましょう。水は便秘の救世主。
7、牛乳?:人によっては遺伝的に牛乳を消化する遺伝子がないことがあります。そういう人は飲むと下痢っぽくなります。しかし消化できる遺伝子を持っている人は、栄養になって下痢することはありませんので誤解しませんように。
便秘を悪くする食品 お茶、ココア、しぶ柿、赤ぶどう酒、肉類にかたよった食事
緩下剤 腸を刺激するもの、便をふくらませるもの、腸を動かせるもの、といろいろあります。いわゆる緩下剤は朝早めのお通じになるよう、夕食後2〜3時間して早めに、ガラスコップ1杯以上のお水で飲みましょう。
食物繊維の効用
食物繊維には水に溶けてゼリー、或いはこんにゃくのような水溶性のものと、セルロースのように水に溶けない不溶性のものがあります。前者は腸内で発酵して酸を生じるため、腸を刺激して便通を促したり、腸内の有害な細菌を減らす作用があります。後者は変化せず、異物として排泄しようとするため、便の量と回数を増やします。このように重要な役割をはたす食物繊維は、糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルに次ぐ「第6の栄養素」と言われるようになりました。
食生活の欧米化と加工食品の増加から、日本人の食物繊維摂取量が減り、それと共に大腸がんが増えてきております。現在の日本人の摂取量は、必要量の1/2〜2/3程度です。
食物線維は大腸で発酵して便通をうながし、消化・吸収されずに大便に出てしまう成分で、次のことから生活習慣病の予防にも有効です。
(1)よく噛むので唾液の量が増え消化・吸収を助け、虫歯予防に有効。
(2)整腸作用があり便の量を増やし便秘を解消します。
(3)糖質の吸収を遅らせ血糖値の上昇を緩やかにします。
(4)低カロリーのため食べる量を増やし肥満予防になります。
(5)胆汁酸の排出を増やしコレステロール値を下げます。(動脈硬化・狭心症・心筋梗塞・脳梗塞・胆石症に有効)
(6)ナトリウム(塩分)の吸収を妨げ血圧上昇を抑えます。
(7)腸の動きを活発にするので発がん物質が腸内にとどまる時間を短くさせ、排泄を早めます。便の量も増えるので発がん物質と腸の壁との接触が少なくなり、大腸がんの予防になります。