タバコ会社会長も「健康」によくない (2002年3月1日)毎日新聞より・・・
<禁煙>英たばこ会社会長が「健康によくない」と呼び掛け
ラッキー・ストライクやケントなどで知られる世界第2のたばこ会社、英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)のマーチン・ブロートン会長は、1日付の英紙タイムズのインタビュー記事で「たばこは健康によくない。私も控えている」と禁煙を呼び掛けた。
たばこ会社トップの異例の発言に英国の嫌煙運動家らは「会社が若者をターゲットに売り込んでいる間に、自分の子どもがたばこに脅かされていたことを彼自身がよく理解している」と指摘している。
ブロートン会長は「子どもにたばこを吸うなと忠告した」と告白。父親の忠告を聞き入れた娘と息子は吸わず、会長自身も「たばこは健康を害する」ため夕食後に時々喫煙する以外は控えているという。
BATは昨年、全世界で8000億本のたばこを販売。01年12月期決算の税引き前利益は、20億ポンド(約3800億円)と前年に比べ36%の大幅増益となった。 (ロンドン共同)
「若年者の喫煙による健康障害について」 新居浜市政だより(12年2月号)
最近の調査では中学・高校生の喫煙率は高く、小学生も吸い始めているといいます。喫煙の低年齢化が確実に進んでいいます。このことは喫煙の健康障害についての啓発や、社会の厳しい目の不足、また諸外国と比べ国の政策が手ぬるいことにもよります。
中学時代から喫煙するとどうなるかというと、咳や痰が出始めたり、集中力や運動能力の低下をきたします。やがて中高年を迎え、50〜60歳の死亡率が非喫煙者より4倍、循環器疾患にかかる率は10倍、がんになる率は喉頭がんでは30倍以上というリスクを負います。病気で早く死ぬ傾向はいなめません。妊婦の喫煙も胎児にはきわめて有害です。
大人になって吸い始める人は少なく、若いときの体験がそのまま習慣化していきます。それはタバコには一度吸い始めるとやめられなくなるという、習慣(中毒)性をもたらすニコチンが含まれているからです。この若年層の喫煙対策が最も重要です。
吸った後の煙は主流煙、そうでない煙を副流煙といいますが、副流煙の方には数倍の有害物質が含まれ、周囲の人に悪影響を及ぼします。個人の好みの自由ではなく、社会問題とされるゆえんがここにもあります。欧米の禁煙標語、「喫煙はあなたを殺します」。
受動喫煙から身を守る(胎児、子どもを守る)
望まぬたばこの煙を吸わされることを言い、たばこを吸わない人にも肺がんや心筋硬塞を起させる。この煙は200種類もの有害物質を含み、ニコチン、タール、一酸化炭素は三悪と言われる。さらにダイオキシンも若干含み、さながら「毒のかんづめ」である。くゆる紫煙を副流煙といい、目にしみるなど刺激がきわめて強い。ベンツピレンやニトロソアミンには発がん性がある。主流煙に比べニコチンやタール成分は2〜3倍、一酸化炭素は4〜5倍、ベンツピレンは3〜4倍、ニトロソアミンは20〜130倍という高濃度である。脇で煙を吸わされる人は喫煙者と同じ位、発がん性のある煙を吸わされることになる。妊娠中の喫煙は胎児の鼓動の停止や乱れ、死産・流産・低体重児の原因にもなる。乳幼児の突然死症候群は、喫煙母が添い寝した赤ちゃんに多く発生している事実から(20〜25%)、米国では喫煙母は別室で寝るよう警告している。
受動喫煙(市政便り5月号)
自分は喫煙しないのに煙を吸わされることを言います。たばこの煙は吸わない人にも肺がんや心筋硬塞をおこさせる、きわめて危険な室内空気汚染因子です。この煙にはニコチン、タール、一酸化炭素など、有害物質が多く含まれております。粒子成分のベンツピレンや気相成分のニトロソアミンは強い発がん性があります。くゆっている紫色っぽい煙は副流煙といい、鼻や目にしみるなど刺激がきわめて強いものです。主流煙に比べニコチンやタール成分は2〜3倍、一酸化炭素は4〜5倍、ベンツピレンは3〜4倍、ニトロソアミンは20〜130倍という高濃度です。
受動喫煙による健康障害は明らかです。例えば、奥さんは吸わないでご主人が喫煙家の場合、長年共に煙を吸っていると奥さんも肺がんになる確率は確実に上がります。受動喫煙にさらされる20人に1人は受動喫煙で亡くなるという説もあります。
妊娠中に喫煙すると胎児の鼓動が止まったり、乱れたりして、死産、流産、低体重児の原因になります。乳幼児に突然死症候群があります。喫煙母が添い寝した赤ちゃんにも多く発生している事から、喫煙母は別室で寝るよう勧告されております。
6人に1人が肺がん死(2001年6月1日の日経新聞掲載)
20歳から毎日20本吸い続けると、6人に1人が肺がん死。毎日40本だと3人に1人と国立がんセンター研究者が発表した。
未成年者の喫煙問題 12年11月15日
渡辺文学さんの近刊書の、プロブレムQ&A「たばこ病」読本 緑風出版の47ページを引用したら以下のような答えが返ってきました。
Q.14 なぜ20歳までたばこを吸ってはいけないのですか?
「答え」
まず呼吸器への有害性です。たばこを吸っている子どもは、風邪をひきやすいうえに、スポーツなどですぐに息切れをします。肺気腫という病気は、非喫煙者にはほとんど見られませんが、若いうちからたばこを吸っている場合は、非常に発生率が高いのです。 肺がんで死亡した40代、50代の人を調べた平山博士は、喫煙開始年齢が早ければ早いほど、死亡率が高いことを突きとめました。未成年時代からたばこを吸い出すと総喫煙本数が多くなり、また発育途上の体にニコチン、タールなど有害物質を取り入れることによって、肺がんだけではなく、喉頭がん、胃がん、脳血管障害、心臓病など数多くの疾病や死亡も、各年齢層で非喫煙者よりもはるかに高くなっているのです。 この裏付けとして、基本的なデータをみてみましょう。肺がんを例にとると19歳までに吸い始めた人は、人口10万についての死亡率が131で、吸わない人の23と比べて6倍もの高さです。
35歳以上で吸い始めた人の死亡率は34で、吸わない人とそれほど大きな差はありません。この結果から吸い始めの年齢が遅ければ危険度は低く、早く吸い始めると危険度がきわめて高くなることがわかります。要するに、10代の発育途上の身体は、非常に発がん物質の影響に対して弱い、感受性が高いということでしょう。そこへ分化の異常を起こすような発がん物質が作用すると、がんができやすくなることは当然です。
もう一つの問題は、若いときから喫煙を開始すると「心理的中毒者」となってしまうことです。とくに中学校時代から吸い始めてしまうと、喫煙習慣が体の中に刻印されて定着してしまうようです。そして、ヘビー・スモーカーも未成年からの喫煙者に目立ちます。このような面からも、とにかく若い世代の喫煙防止策を強化しなければなりません。
「二十歳」の攻防
数年前、JTが未成年喫煙防止のキャンペーンと称して、こんな標語を作成しました「ハタチまで待って楽しい煙の輪」 この標語は、イラスト入りのポスターとなって、全国のたばこ小売店や関係機関に張り出されました。その後も、毎年「これがルール」というコピーで、20歳までは吸わないようにとキャンペーンを展開しています。しかし、こんなことで未成年者の喫煙がなくなるはずがありません。JTの本音は「20歳になったらどんどん吸いましょう」ですが、しかし、多くの喫煙者は十代の半ばで喫煙を開始していることも事実です。
一方、文部省は、小・中・高校の教科書の中で「生涯にわたって吸わない態度の育成」をうたっています。その文部省が、JTの「たばこは二十歳になってから」というキャンペ:ン・ポスターに、後援団体として加わっていることが明らかとなりました。禁煙運動団体は、この文部省の姿勢を厳しく批判しています。
からだの防衛体制はたばこの害を処理しきれない
社会保険7月号(2000年)呼吸器の健康知識(その3)
刺激性物質を吸うと、むせたり、せきが出たりすることは誰でも一度は経験済みのことでしょう。たばこも吸い始めのときは、むせるのが普通ですが、慣れてくると苦痛とは感じなくなります。これが実は恐ろしいことで、量が増える原因の一つにもなっています。喫煙は一種の大気汚染とみなすことができますが、たばこの煙のほかにニコチン、たーる、などの呼吸器系に大変有害な物質が含まれています。これらは数ミクロンという極めて小さい粒子で気道はもちろん、肺胞まで刺激して、それぞれの働きを低下させます。それだけでなく、長年に及ぶ喫煙は肺胞の破壊につながり、慢性気管支炎や肺気腫といった、難治の病気を引き起こす最大の原因とされています。
青壮年期では、異物を外に出す作用も旺盛なため、被害も目につきにくいかもしれませんが、40歳を過ぎると、そろそろ生理的に呼吸器の老化が始まり、その後は加速度的に影響が強く出てきます。
大都市では大気汚染の影響と喫煙による呼吸器の損傷は重複するものと考えられますので、喫煙による被害は数字では表わせないことが想像されます。
ブリンクマンという人は、1日の喫煙本数と喫煙年数を掛けた値が400を超えると肺がんに対する危険性が増えるといっています。
そのほか、心臓や血管の変化を起す原因ともなり、いろいろな報告書を調べてみても、残念ながら、私たちのからだの防衛体制は、絶え間ない喫煙に対して無毒化する状態にないといえます。
まして、近頃はティーンエイジャーの中にもたばこを吸う人が増えてきているようですが、からだの組織が未完成なうちに喫煙の習慣がつくと、将来に及ぼす影響は計り知れないものがあります。
統計的にも肺がんになった人を調べると、若年からたばこを吸い出した場合が多いこともわかっています。
どうしてもたばこがやめられない人に対しては、乱暴な言い方になりますが、病気になることを覚悟しなければなりません。
キレル児童・生徒
「今日ニュースで公衆衛生院と教育庁(?)で、切れる子供の親の状況を共同研究すると伺いました。きっと既に計画されているとは思いますが、喫煙する親の子供は犯罪率が高い、知能が発達できない、情緒が安定しないなど、様々な指摘がある中、是非親の妊娠中、子育て注の喫煙状況も調査していただけたらと思いました。」
私も、以前ニコチンについて調べてみましたが、その中で、以下のようなことが分かり、その後、学校保健の禁煙教育の立場で、依頼された養護教諭のための月刊雑誌社に原稿を送り、全国紙掲載されました。その原稿をここで再度引用してみます。ピンク先生がおっしゃるとおり、喫煙する親の子、あるいは未成年で隠れて吸っている子供にあるいはキレル、犯罪を犯した子に、ニコチンの作用のそのような恐れがありますから関係調査機関は是非、ピンク先生が指摘されているのに加えて、未成年者の犯罪と喫煙のデータ、それの喫煙状況も同時に調査を願いたいと思っています。
気道から吸収され血中に移行したニコチンは、約4秒で脳に達します。喫煙者で、血液に含まれているニコチンの量が減少すると、それを常用のレベルまで引き上げたいためにタバコを吸い続けます。というのは、ニコチンは麻薬と同じようにたんできせい耽溺性と中毒性が強いからです。
喫煙をすると、副腎の受容体はニコチンで刺激されてアドレナリン、ノルアドレナリ
ンが多くなるので、血圧は高くなり、脈拍も増え、血管は収縮して細くなり、皮膚の温度は4〜8度も下がります。それはちょうど、ストレス時と同様に、敵に対して体がりんせん臨戦たいせい態勢を取るように働きかけます。
喫煙にさらにストレスが加われば、自律神経系の興奮はさらに高まります。つまり、自制心がなくなり衝動的な行動をとるようになるのです。現在増加している青少年のいじめや自殺、キレル子も、彼ら,彼女らがかくれた場所で吸ったタバコにより,持続しているニコチンの薬理作用が大きく影響しているのではなかろうかと思われます。というのは、体内に入ったニコチンが体内から完全に消滅するのは約2〜3日間かかります(青少年,少女ほど薬効が早く高く顕著であり、それの持続の時間も長い)。
青少年や少女の喫煙人口の増加と共に、今後ますますいじめや自殺の増加、キレル子の増加が危惧されます。
また、喫煙は青少年が麻薬に容易に手を出したり、のめりこんだりするきっかけを容易に(ニコチンはヘロイン,モルヒネの麻薬と同じ仲間であり、モルヒネもモヘロインも用量を適当に加減して与えればニコチンと同じ作用を示す。NICOTINE,COCAINE,MORPHINE,HEROINE の、最後の3文字のINEは、習慣性があることの薬理作用を表わし、同じ仲間であることを示す)作ります。ですからタバコを吸うことは麻薬や覚醒剤を取り入れ易い環境に、おのずと入っているといえます。
子供を目標にしたタバコ会社の経営戦略
大手タバコ会社の広告費用は1社あたり年間82億ドル以上
(または1日当たり2250万ドル以上)に上ります。また、それらの広告は主に子供たちを対象にしています。
タバコ会社の「子供へのタバコ販売効果の検討」という文書や広告専門家の意見によると、タバコ産業は子供を目標に販路を広げていることは明らかです。
タバコ会社の声明と行動!
様々なタバコ訴訟により、タバコ会社の膨大な内部文書が明らかになりました。タバコ会社は子供の喫煙習慣を研究した結果、タバコ産業は13歳の子供を重要なタバコ消費者であると捉えており、子供たちを目標にした製品作りと宣伝活動を行っていることが明らかになりました。
以下はタバコ会社の社内文書です。
RJRタバコ
「数々の研究により14歳から20歳の層は簡単にタバコ喫煙を始める秘密の消費市場であり、この年代にタバコを売り込めば簡単に大儲けが出来る。」
フィリップ・モリス
「今日の子供達は、将来も喫煙を続ける常連客です。事実、喫煙者の大部分が最初にたばこを吸い始めるのは10代です。フィリップ・モリスにとって10代の喫煙習慣は特に重要です。」
RJレノルズ タバコ
「14-18歳の子供達の喫煙人口が増加する可能性があるという証拠があります。RJレノルズの将来の経営のためにも子供向けの新しい製品を開発すべきです。」
ブラウン&ウィリアムソン タバコ
「15歳から25歳の年齢に、重点的に、タバコを売り込むべきです。
彼らが見るTV番組や雑誌等にタバコ広告を掲載する効果を調査しましょう。」
ローリラード タバコ
「私たちの商売は高校生にタバコを販売することです。」
USタバコ
「わが社の新製品はキャンディーの味がします。キャンディーが好きな消費者向けの商品です。私が何を言いたいのか判りますか?」
タバコ会社は「子供向にタバコを販売することはやめた」、あるいは「未成年にはタバコを販売しない。」と主張します。しかし成人向けの雑誌にタバコ広告を掲載することが可能なのに、未成年向け雑誌にタバコ広告を掲載し続けています。さらに、タバコ会社は、学校の校門や運動場付近にタバコ売り場を設置し、店の外からも はっきり目に見える大きな広告を掲示しています。
若年者の喫煙の流行という危険な状況について
この報告書によると、成人の喫煙率は減少していますが若年者の喫煙率は減少していない事が明らかになりました。
若年者におけるタバコ消費量は西側諸国でも東側諸国でも大差がありません。さらに、ティーンエイジャーの喫煙率は12カ国の国々で男女差なく増加しておりティーンエイジャーでは男性も女性もほぼ同等の喫煙率でした。
Dr Danzonによると、「ヨーロッパの西側諸国でも東側諸国でも15歳から18歳のティーンエイジャーの喫煙率は男女ともに30%を超えています。」「これは非常に危険な状態です。我々はタバコの危険性について十分に周知するための対策を講じる必要があります。」
ヨーロッパ地域における13カ国の調査によると、ティーンエイジャー女性の喫煙率は25.3%で成人女性の喫煙率21.5%を上回っている事が明らかになりました。
5年前まではティーンエイジャー女性の喫煙率はごく少数か、または成人女性とほぼ同等でした。
計算力や読解力、少し低下 たばこの煙吸う子供調査(2002年3月7日)
他人のたばこの煙(副流煙)を吸っている子供は、その量がごくわずかでも、読解力や計算などの能力がわずかながら低下ることが、米国のシンシナティ子供病院の約4400人を対象にした調査で分かった。同病院の研究グループが6日、米国の小児科学会で発表した。
グループは、喫煙経験がなく、副流煙を吸う環境にある6歳から16歳までの子供、4399人を対象に、たばこに含まれるニコチンが体内で分解されてできるコチニンという物質の血中濃度を分析。
さらに、米国で標準とされるテスト方法で、計算力、読解力、理論的思考の能力などを測定。副流煙を吸っていない子供と比較した。
その結果、血中のコチニン濃度が高くなるほど、これらの能力の点数はわずかながら低くなることが判明。コチニンの濃度が血液1ミリリットル中1ナノグラム(ナノは10億分の1)以下という微量でも、点数の低下が確認された。
同1ナノグラムのコチニンは、1日にたばこを1箱程度吸う人と一緒に暮らしている子供の血中濃度にほぼ等しいという。
研究グループのキンバリー・ヨルトン博士は「今回の結果は、子供をたばこの副流煙から守るための対策が、いかに重要かを示すものだ」と指摘している。(共同)
時事通信ニュース速報 (9/9 2002年)
◎未成年喫煙者、肺がんも早発=「成長期はリスク増」−愛知がんセンター
10代から喫煙を始めた男性ほど肺がんにかかるのも早い−。愛知県がんセンター(名古屋市)が9日、こんな調査結果をまとめた。
21歳以降にたばこを吸い始めた男性に比べると、発症年齢は平均6年半も早く、調査に当たった同センターの田島和雄疫学・予防部長は「成長期の喫煙がリスクを増大させる」と警告している。
同センターは、1988年から2000年にかけて受診した肺がん初発患者のうち、がん発見の1年以内まで喫煙していた男性773人について、喫煙開始の年代別に発症年齢の分布を調べた。
読売新聞ニュース速報( 9/7 2002年)
原因不明とされる乳幼児突然死症候群は、親の喫煙がきっかけの1つとなる可能性の高いことが分かりました。
豪州の研究チームが調査したもので、赤ん坊を仰向けに寝かせていても、親が喫煙していると、うつ伏せに寝かせたときと同等の危険性があるとのことです。
女児では男児に比べ早期にニコチン依存症になりやすい 2002年10月22日
子供たちの心血管系に対する受動喫煙の影響 2002年10月9日
研究により、子供たちの前でタバコを吸う親による、子供たちへの被害が明らかにされました。受動喫煙に曝露されている子供たちの血液中化学物質レベルが著しく高いことから、子供たちの血管壁は既に障害を受けているらしいことが示されました。
反タバコ活動家は、米国の心臓病会議で紹介された発見について、両親はタバコ煙から子供たちを守る努力を強化する必要があると語りました。University
of Viennaの研究チームは3歳から15歳までの子供たち158人の血液と尿のサンプルを採りました。そして、彼らは8-epi-PGF2alphaと呼ばれる化学物質を調べました。
この物質は "free radicals"と呼ばれる物質がarachidonic acidと接触することにより生じます。arachidonic acidは血管の弛緩と収縮をコントロールする重要な化学物質であり、血栓を防ぐ作用があります。このarachidonic acidの活性が障害されると、理論上、血管内皮細胞層の適切な働きを止め、動脈硬化を促し、心疾患を引き起こします。
加速される障害
この障害は一生を通じて蓄積されると考えられており、喫煙により加速されます。しかしながら、親の喫煙により、受動喫煙に曝露された幼い子供たちでも、8-epi-PGF2alphaのレベルが上昇します。もし、両親が1日40本のタバコを吸っているならば、両親がタバコを吸わない場合と比べて、8-epi-PGF2alphaのレベ
ルは130%も高くなります。母親の喫煙による影響はさらに明瞭な影響を及ぼします。研究を率いた
Helmut Sinzinger さんは「母親による子供への受動喫煙の影響が大きいのは、父親に比べ、家庭でより密接に子供たちと接するからでしょう」と、語りました。「子供たちがいる場合、両親はタバコを吸わないように注意されるべきです」「米国と西ヨーロッパでは、約半数の子供たちが、何らかの形で受動喫煙に曝露されています。子供の頃に受動喫煙に曝露されると、後々、心疾患の引き金になる可能性があります」
強調
反タバコ団体Action on Smoking and HealthのAmanda Sandfordさんは、両親に対し、子供たちの周囲でタバコを吸わないよう、強調します。彼女は語ります。「受動喫煙が子供たちの健康障害を引き起こすという証拠は、時間の経過と共に、強固になっています」「子供たちの体はタバコ煙による有害な作用を受けやすいようです」「喫煙者は子供たちの前で自由に喫煙して良いと感じているようです」
こどもの受動喫煙を減らすための提言(日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会)
1.受動喫煙とは
たばこの煙には、先端から立ち上がる副流煙、喫煙者の吐き出す煙があります。こどもの喫煙のほとんどは、これらを吸う受動喫煙です。こどもの受動喫煙で、気道アレルギーが悪化して、ぜんそくが治りにくくなったり、乳幼児突然死症候群(SIDS)が増えるなどの健康影響が報告されています。
2.たばこの煙の性質
たばこの煙は直径1ミクロン以下の非常に小さな粒子です。あまりに小さいため、気流とともに浮遊します。粒子は活性炭や繊維製品、肺など微小な空間を通る時に多く吸着されますが、壁や天井など平坦な表面にはあまり沈着しません。
閉鎖された室内では、たばこの煙は数分後には部屋全体に広がって薄められ、見えなくなります。しかし、沈着はごく一部だけで、粒子の大半は長時間にわたって空気中に滞留しています。従って、短時間に室内空気を清浄にするには、気流ごと、たばこの煙を室外に出す、つまり窓を開けて換気するのが最も効果的です。
3.こどもの受動喫煙
こどもの受動喫煙といえば、家族が吸っているたばこの煙を直接、吸い込むことだけを考えがちです。その結果、こどもの前でたばこを吸わなければ受動喫煙を減らせると誤解されています。しかし、受動喫煙の大半は、室内空気中に滞留している、たばこの煙を知らず知らず、長時間にわたって吸うことによって起きています。閉め切った部屋では、目に見えず、煙たさを感じなくても、たばこの煙は空気中に滞留しています。とくに今日の住宅はエネルギーの節約のため気密性が高く、この状態が長く続きます。こどもが家に帰ってきて、こうした部屋で数時間過ごしたとすると、直接、喫煙者の側にいてたばこの煙を吸ったのと同じ、場合によってはその何倍もの煙を吸うことになります。
こどもの受動喫煙への影響は、他の家族より母覿の喫煙が大きいとの調査結果があります。母覿は家庭内にいる時間が長いため、と考えられます。また、こどもが不在の時に吸うたばこの煙に注意が行かず、閉め切ったままでこどもを迎えることも、子どもの受動喫煙量を増やしています。
4.こどもの受動喫煙を減らすための提言
受動喫煙を減らすには家族の禁煙に越したことはありません。しかし、それができなくても、たばこの煙の性質や家庭の喫煙状況から、こどもの受動喫煙を減らすことができます。私たちは、次の2点を国民の皆さんに提言します。
1)受動喫煙を避けるため、こどものいる家庭では、たばこは室内で吸わず、屋外で吸うようにしましょう。
2)室内で吸った場合、必ず、窓を開けて換気しましょう。とくに対面する2か所の窓を開けて自然換気するのが効果的です。