日本医療マネジメント学会愛媛県支部長挨拶
<2024年度 挨拶>
日本医療マネジメント学会愛媛支部長 櫃本真聿
我々医療・介護分野での感染症対応はこれまでと概ね変わらぬものの、長かったあのコロナ一色の風景も過去のものとなり、マスコミはもとより世間でコロナの話題をほとんど見聞きすることがなくなりました。一方コロナ予備費と言われる「ばらまき!?」政策による医療費投入のつけが、2024年度の診療報酬トリプル改定に多大な影響を及ぼすことになり、厳しい医療経営を余儀なくされる状況に陥っています。またコロナ禍により、DXや連携の必要性を10年以上も加速したと言われ、この“危機的かつチャンスでもある時代”の改定に、言うまでもなく注目は集まっています。さらに医療者等の処遇改善・ベースアップも含めて、医療マネジメントの重要性は増すばかりであり、この学会の役割の大きさを改めて感じているところです。
2024年度からは、当会の事務局がHITO病院に移転することになり、石川賀代事務局長(副支部長)のリーダーシップのもとスタートすることとなりました。当会の今後の発展にとって欠かせない大変心強いチャンスをいただき、将来のイメージを膨らませているところです。創設からこれまでの10年余りにわたって、当会を引っ張っていただいてきた古林事務局長(新居浜十全病院名誉院長)様には、引き続き役員としてご指導いただきます。これまでのご労苦に心から感謝申し上げますとともに、今後ともどうかご支援の程よろしくお願いたします。
さて2024年度第14回日本医療マネジメント学会愛媛県支部学術集会ですが、高石義浩総会長のもと、北条病院の主催で、11月9日(土曜日)、松山市医師会館で開催する運びとなっております。地域密着型病院として北条病院を発展させてこられた実績があるだけに、「地域を支える医療マネジメントを目指して」という大会テーマから、主催者の意気込みが響き伝わってきます。特別講演には、邉見公雄先生(全国自治体病院協議会 名誉会長)をお招きし、「生命輝かそう医療マネジメント学会愛媛支部の仲間達へ 〜地域包括医療・ケアの時代に〜」という演題でお話をいただきます。「良い医療を効率的に、地域住民の方々とともに作り上げる」を掲げられ、地域医療構築に全力されてこられた邉見先生から、この厳しい時代を乗り越えていくヒントやエネルギーをいただけると思います。
地域包括ケアシステムが初めて診療報酬改定に登場したのは、2012年度でした。その後一貫して最重要項目として掲げられて、2024年度トリプル診療報酬改定においても、今後の医療・介護の理念として位置づけられ、疾病管理ケアから生活重視へ、この流れが今後も変わることはありません。評価指標もサービス提供体制の手段から、在宅・生活に戻すという結果(アウトカム)に切り替えられ、データを集め適宜評価するために、DX化は待ったなしで推進されていきます。またベースアップは、医療介護の分野も例外ではなく、小手先ではなく、人事を見直し抜本的な改善を進めていかなければなりません。医療も経営という考え方が不可欠であり、「働き方改革の真意」を踏まえ、職員のやる気や患者からの信頼度向上を意識した、DX化と地域での幅広い連携強化が求められています。 また「電子カルテ化しないなら 医療辞めますか?」も聞こえてきました。もはや診療報酬追従型の小手先の変更調整では限界は明らかです。「人・モノ・カネ・情報」の調整に、経営者としての能力が問われる時代になったことを覚悟しなければなりません。
少子高齢社会を背景とした地域包括ケアシステムが目指しているのは「個々人のパフォーマンスの向上」と言ってよいと思います。医療・介護機関においても、「パフォーマンスの向上」を狙いに、チャレンジ・チェンジが必要です。住民・患者が“してもらう主役”ではなく、“参加する主役”として、セルフケア力の向上や地域づくり活動等が全国に普及することが求められています。2025年問題から2040年問題への速やかな移行を図るために、投資としてDX化を推進し活かすことで、住民からの信頼を確保することが重要です。医療による地域における生活資源としての強力なマネジメント力が期待されています。
2024年11月09日
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