日本医療マネジメント学会愛媛県支部長挨拶


<2017年度 挨拶>

日本医療マネジメント学会愛媛支部長 櫃本真聿
本会もお陰様で 役員幹事のリーダーシップおよび会員の皆様の積極的な活動に支えられ7年目を迎えました。会員増と併せて学術報告は質・量とも毎年充実しており 全国レベルで評価される取り組みや人材が育っており 心から感謝申し上げる次第です。 さて 地域医療が進んでいるまちとは “医療資源が豊富であり 体制が整備されている”とは一概に言えないと思います。地方都市の多くは医療資源が確保されており むしろ必要以上に集中化していることが問題です。医療資源の確保は一つの指標ではありますが 医療資源の多少に関わらず“地域住民が医療を生活資源として把握し活用できている地域”こそが地域医療が進んでいると言うべきでしょう。新たな医療資源を投入するより 既存資源を地域住民の生活を支えるためにいかに活用できるか まさに“生活に戻すための医療ネットワークの構築”と“住民の意識改革”に向けた 強力なマネジメント力が地域医療の在り方を左右する時代となりました。各地域で地域医療を進めるためには 行政や医療者他関係機関は“してあげるサービス”から脱却し 住民自らが生き甲斐をもって 地域生活を継続できるよう 患者力や住民力を引き出す“エンパワメントの視点”から関わっていくことが望まれます。 平成30年の医療・介護の同時改定が注目されていますが 進むべき方向性や将来を予測せず 目の前の改定に追従していくことは得策ではありません。今年度第8回目の総会は 松山リハビリテーション病院(木戸保秀理事長)が この来年に迫った同時改定の方向性を見定め 2025年をイメージした医療の在り方を考える場となるよう 愛媛慢性期医療協会研究会と共催で 日本医師会の鈴木邦彦常任理事の特別講演を企画されております。今後も『生活に戻すための医療・介護』という方向性は変わることはなく ますます推進されることになります。自分たちの地域に目を向けてぶれることなく 住民の意識改革を図りながら 真の地域医療の推進に向けて 関係機関が繋がることを心から期待しております。 昨今 医療・介護連携や多職種連携など“連携”が強調されるにつれ 連携という本来手段であるものが目的化される傾向が否めません。そしてその結果 医療・介護側各々の都合を優先した役割分担が先行し いつの間にか“良かれ”のしてあげ型サービス提供に変貌し 患者のQOL・QODの向上・実現から離れていくことになります。近江商人の“三方よし”は我々にとっても通じる教えで 「売り手よし」「買い手よし」に「世間よし」が強調されており まさに住民や社会貢献を重視した連携のあり方を端的に表しています。連携とは「目的を明らかにし共有して その実現に向けて互いの力を引き出しあう関係を築くこと」だと思います。地域包括ケア時代の医療介護の目的は何か 「生活に戻すこと」「元気高齢者を育成支援すること」だと私は考えていますが まず目標を明らかにしなければなりません。その実現に向けて信頼関係を築き互いが歩み寄ることで 自ずと各々の利点を活かしあうことにつながると思います。そのためにも互いを知り信頼を築く“アウトリーチ”が欠かせません。“連携から統合の時代”とも言われますが 同じ目標に向かっていること それを実現するベクトル・戦略に共に乗っていることを意識して日々活動することで 住民や地域力を引き出す“地域づくり”につながると考えています。 当会がその推進に向けた原動力となるよう ますますのご活躍を心から期待しております。
 平成29年04月01日


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