[すばらしき飛行機時代]
20世紀
ヒコーキ・グラフィティ
すばらしき飛行機時代
平木 國夫
B5判
¥2000+税

「Atlasmook(アトラスムック)」シリーズの「すばらしき飛行機時代 — 20世紀ヒコーキ・グラフィティ —」は、日本で初めて飛行機が飛んだ明治末期から大正期にかけての黎明期、そして昭和初期のロマン溢れる冒険飛行の時代を、民間航空史の権威である作家・平木國夫氏氏が収集した豊富な写真と文章でわかりやすく紹介したもの。
 この当時は飛行機が未発達であったため、さまざまな墜落事故が起き、多くの飛行家たちが命を失ったが、当時のイカロスたちが大空に馳せた夢と情熱は、現代の私たちには計り知れないほど、大きく、すばらしいものだった。
 ライト兄弟が初めて飛行に成功した1903年から約100年。まさに「飛行機の世紀」ともいえる20世紀末にあたり、人間が空を飛ぶことの原点を見つめた本書は、飛行機ファンのみならず、多くの人に“すばらしき飛行機時代”を感じてもらえるはず。
 なお本書では、平木氏の代表作「空気の階段を登れ」出版に関する秘話と、なぜ航空関係の小説を多く書くに到ったかという作家の個人史など、興味ある内容となっている。

プロローグ 大空への讃歌
             
第1章 黎明期のイカロスたち

ライト兄弟/ライト兄弟、世界初の有人動力飛行に成功。この瞬間から、空を飛ぶ歴史が始まった
徳川好敏 日野熊蔵/「ヨーロッパに操縦技術を学べ」−明治四十三年、買い入れた外国機が日本の空を初めて飛んだ。
奈良原三次/国産飛行機第毒を製作した奈良原三次。彼の元から多くのイカロスたちが巣立った。
近藤元久 武石浩玻/米国、カーチス飛行学校に学んだ近藤元久、武石浩破飛行機事故で、日本人初の犠牲者に。
滋野清武/フランスの空を駆け、レジオン・ドヌール勲章を受けた名パイロット、バロン滋野
伊藤音次郎/独学と職人技で数々の名機を創り、多くの飛行家と設計者を育てた伊藤音次郎
音次郎の門下生・1 山縣豊太郎/二十三歳で、若い命を散らした天才飛行士、山縣豊太郎
音次郎の門下生・2 安岡駒好/波乱万丈、剛胆な飛行家人生を歩んだ高知県人、安岡駒好
音次郎の門下生・3兵頭精/父の遺志を継いだ、女性飛行家第一号、兵頭精
さいはての空に生きた北海道のイカロス・上出松太郎/上出松太郎、リンドバーグ夫妻を空で出迎え
二宮忠八/飛行原理を発見しながらも、空飛ぶ夢がかなわなかった先覚者、二宮忠八
アート・スミス/空を飛ぶスリルと爽快さで日本人を熱狂させた、青い日の曲芸飛行家たち。

第2章 日本の航空事情

日本と世界の航空の歩み(年表)
飛行学校/各地に登場した飛行学校。教官の死や事故を乗り越え、多くの生徒たちが巣立っていった。
飛行免状/万国飛行免状を取るには洋行しかなかった初期。
     日本で飛行家になるにも莫大な費用がかかった。
懸賞飛行大会 話題づくりに一役買った懸賞飛行大会、高額の賞金で民間の飛行家たちを支援した。
有料飛行大会/全国各地で行われた有料飛行大会、移動の際は、飛行機を分解し、列車で輸送した。
郷土訪問飛行/飛行家は、ふるさとが誇る英雄だ! 文字どおり、故郷に錦を飾った「郷土新開飛行」。
飛行場/初の民間飛行場・稲毛、よくしまった砂浜が離着陸に最適の場となった。
定期航空路/大正十一年十一月十二日、定期航路開設。飛行機実用化時代に向けて、動き始めた。
エッセイ 音次郎のバックアップを得て、日本に初めてエアラインを開いた井上長一。愉快な逸話がもたらした幸運。エアライン有償旅客第一号は森永製菓社長夫妻だった。作家内田百けんが進めた学生訪欧飛行、遭難しながらも、訪間者地で歓迎された「青年日本」号。「ミス・ヴィードル」号、太平洋無着陸横断初飛行を陰で支えた日本人。
飛行機の役割と使途の変化/第一次大戦後、飛躍的に実用化が進んだ飛行機。日本の手作り飛行機生産も次第に工業化した。

第3章 私のヒコーキ人生(平木國夫エッセイ集)

飛行機少年から民間航空に材をとる作家ヘー ある飛行家と膨大な日記との出会い
懐かしき「ブー・ガチャン時代」を語る
木村秀政工学博士、伊藤音次郎、平木國夫
空翔けよ!平和の翼  古在由重(哲学者)対談平木國夫
タルホと「ヒコーキ野郎たち」   稲垣足穂との交流
悲喜こもごも取材楽屋話・足田輝一氏追悼   足田氏に託した「空気の階段を登れ」の出版
悲喜こもごも取材楽屋話・追悼佐貫亦男先生 たちどころに書かれた文庫の解説文
写真一枚…古写真が物語る航空史の新事実
かつての上司、フェリーパイロット、清水千波

あとがき               

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