[大洲肱川の畔にて]

推薦図書
大洲肱川の畔(ほとり)にて
常磐井忠香
四六判 並製本
¥1429+税

 幕末、大洲藩内の英才を数多、世に送り出した古学堂の常磐井厳戈(ときわい いかしほこ)。厳戈は、大洲領総鎮守八幡神社という由緒ある神社の宮司でもあった。

 筆者は戦前、その古学堂に、松前町徳丸の高忍日売神社(たかおしひめのじんじゃ)から嫁いできた社家のお嫁さん。その花嫁姿の筆者に「古学堂を頼みまする」ととりすがって涙を流した老人は、シーボルトのさいごの弟子・三瀬諸淵の甥であった。その唐突な振る舞いに驚いた筆者だったが、やがてこの神社が大洲の人々にとって心のよりどころとなっていることを知り、そのことを深く心にとどめた。

 筆者は、大洲で教員をつとめる夫とともに、幸せな日々を送ったが、戦争、洪水と、苦難の日々が続き、やがて大洲を中心に肱川が氾濫し、洪水の後かたづけの勤労奉仕に出かけた夫はそれがもとで病死してしまった。それから始まった筆者の苦難の日々。その悲しさに誰もが涙するが、そのなかで凛と生きた親子の清々しさが、深い感動を呼ぶ。

阿蔵の里の古学堂/常磐井有実氏との出会い/社家の娘/私の両親/結婚生活のはじまり
急変、夫の死/終戦後のわが家/前向きに/義母の死/自己流の農業と農業文化への目覚め
水田流失/二度日の後妻さんを迎える/自立を目ざして/行商/「肱水」との出合い 
保育園の保母時代/敬子の死/息子たちの発想/御祓小学校赴任/御祓のむらの遺跡、風習
母子家庭/大洲への帰宅/平野小学校転任/トキを守ろう/二男の大学卒業
常磐井厳戈の願彰/百年祭記念出仮「常磐井厳戈先生」/三善小学校赴任と退職
子どもたちの好きな「昔の話」/三善地区の生活誌づくり/大洲城の濠
思い出すまま/訪問教育/U君との歩み/待ち着物

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