小・中・高校校歌の興味深い事実、
高等学校の歴史や校歌作成のエピソードなど、
校歌から愛媛の姿を知る一冊!!
愛媛県には小学校三百六十四校、中学校百五十一校、高等学校七十四校(平成十九年四月現在)があり、歌われている校歌の数は六百余り。旧制の学校や応援歌を含めると、その数は格段に多くなります。
校歌は、学校行事や式典で歌われるため、ほとんどの生徒たちがその歌詞とメロディを暗記しています。そして、校歌に詠み込まれたふるさとの風景や自然、郷土の人物などが私たちの思い出となって心に残ります。知らず知らずのうちに郷土愛や愛校心、誇りが育っていくのです。
第1章「小・中・高校校歌トリビアル」では、各自治体の教育委員会の協力を得て集めた愛媛の小・中学校、高等学校の校歌を集計して分析したものです。校歌を調査していくと、さまざまな興味深い事実を見つけることができました。特に数多くの優れた人たちが校歌をつくっていることを知り、感動すら憶えました。
第2章「愛媛の高等学校・全校歌」、第三章「高等専門学校校歌・大学校歌」は、愛媛の高等学校を中心に、学校の歴史や校歌作成のエピソードを集めました。校歌制定から長い時間が経っていることもあり、成立過程が不明な学校もありましたが、創立記念誌などから校歌の由来を探りました。
生徒や卒業生などから歌詞を募集したもの、教師や校長がつくったもの、有名な作家や学者に依頼したものなど、校歌がつくられた過程はさまざまです。また、依頼方法もそれぞれの学校により異なっていました。将来も歌い継がれていく校歌成立の裏に隠された時代の空気を綴りました。高校の校歌は、旧制中学から新制高等学校へと変わる戦後まもなくの時期にほとんどの校歌がつくられています。中には、旧制中学の校歌をそのまま活かしたものもあります。
この章で役立ったものが、昭和50年から6年の長きにわたって毎日新聞に連載された「わが母校」でした。途中で「高校風土記」のタイトルに変わりますが、当時のエピソードが詳しく記載されているため、創立記念誌やその他の資料とあわせ、参考にさせていただきました。また、松山市教育研究協議会文化部がまとめた『高らかに響け―我が校の校歌自慢―』も人物を調べる上で、とても役立ちました。
校歌を切り口にして、愛媛の姿を知ることを目標に、本書を綴りました。次回は、「ご当地ソング」を調べたいと思っています。
出版にあたってご指導いただきました県教育委員会ならびに、お手を煩わせました各学校のご担当者に、御礼申し上げます。 |