[まるかじり香川]

まるかじり香川
土井中 照
新書判・144P
¥952+税

香川の魅力をまるかじり。本をポケットに入れて、香川の知的探検へ。

 四国文化観光新書『まるかじり』シリーズの第二弾は、香川県である。香川県は、四国の玄関口として発展してきた。四国経済の中枢都市としてのイメージが強いが、瀬戸大橋の開通やうどん巡礼ブームなどで魅力的な観光地としての姿も見せている。香川県のさまざまな情報を調べていけばいくほど、香川県は多くの魅力に満ちている。調査でわき起こるワクワク感を『まるかじり香川』という本にまとめた。多くの〝県民性本〟には「要領が良くて人なつっこく、ケチ」で「へらこい」香川県民と書かれてあり、そこにばかり着目されているようであるが、その見方では香川県民の本質を捉えることができない。自らの努力で自分の関わる社会を変革しようとする、きわめて現実的で合理的資質を持つ香川県民は、場所さえ与えられれば、その能力を惜しみなく使う。平賀源内をはじめ、菊池寛や大平正芳など、魅力的な人物を数多く輩出しているのが、その証拠だ。
 文章は本文とコラムに分けて構成。イラストや漫画、地図、図表も多用して、わかりやすさと使いやすさに配慮した。
 第1章は、「データにみる香川の県民性」。さまざまな統計資料から浮かび上がってくる香川県民の実像に迫った。「へらこい」と言われる県民性だが、データを集めて解析すると、客観的な数字や情報から香川県と県民の真実の姿が見えてくる。また、香川出身の著名人データや県民性に関するデータも網羅している。
 第2章は、「香川の歴史文化さんぽ」。平成の大合併で新しくなった自治体ごとに、主要な観光スポットを紹介している。歴史上の人物や施設の楽しみ方などの情報を取りあげ、その地域をより深く理解できるように構成した。さらに自治体の地図を入れ、周辺の観光に役立つよう配慮している。
 第3章は「香川食べつくし」。地域特有の料理の「食いしん坊」を自認する著者の腕の見せどころ。「うどん」のように香川を代表するたべものから、「まんばのけんちゃん」のような家庭料理、魚や野菜などの素材、お菓子のたぐいまでも、面白く紹介している。
 『まるかじり香川』は新書サイズなので、ポケットやバッグに入れて持ち運びがカンタンである。香川県の旅のガイドとして、歴史散歩や観光地散策にご活用いただきたい。

第1章 データにみる香川の県民性

【地 理】 狭い土地に多くの人が住む香川県◎12 地理データ/香川県の自治体/全国一狭い面積になった真相
【気 候】 気候は厳しくないが、夏は蒸し暑い◎14 天候データ
【降 水】 雨の少ない香川で生まれた「ため池」◎15 降水・ため池データ
【心理学】 心理学者が見た県民性◎16 躁鬱質・分裂質分布マップ
【戦国時代】 戦国時代に書かれた讃岐人気質◎17 『新・人国記』掲載地図
【へらこい】 へらこい気質は出る杭を打つ◎18 県民の意識データ
【貯 蓄】 現実を見据えて貯蓄に励む◎19 県民の金銭データ
【うどん】 何か食べたくなったら、まず「うどん」◎20 県民のうどんデータ
家計にみる「めん食い」生活◎21 県民の主食データ
【結 婚】 浮気厳禁で家庭優先の結婚生活◎22 家庭生活データ
【女 性】 讃高学歴で働き者の讃岐女◎23 大学進学率/女性の労働データ
【交 通】 狭い香川、そんなに急いでどこへ行く◎24 交通データ
【健 康】 病気にかからぬよう、予防に努める◎25 病気データ
【家 計】 オシャレと教養に惜しみなくお金を使う◎26 家計データ
【オシャレ】 男性は洋服、女性は化粧でオシャレ◎27 オシャレデータ
【出 世】 組織の中で個性を生かす県民性は、官僚や大企業向き◎28
 香川県出身中央省庁幹部職員データ/香川県出身経済人
【イチバン】 「イチバン」がいっぱい◎30 香川県のイチバン/香川県の企業日本一・世界一/香川県の100選
【文学者】 ベストセラー作家を数多く輩出する◎32
 香川県出身文学者/香川県の文学系ミュージアム/香川県出身まんが家
【芸術家】 新しい分野に挑戦するアーティスト◎34
 香川県出身アーティスト/香川県に住んだ有名アーティスト/香川県の美術系ミュージアム
【芸能人】 芸能界では、スターよりも脇役で輝く◎36
          香川県出身俳優・タレント・アナウンサー/香川県出身ミュージシャン
【スポーツ】 野球王国の名に恥じないスポーツ人脈◎38
 野球殿堂入り香川県出身者/香川県出身野球関係者/香川県出身スポーツ関係者
【宗教人】 空海をはじめとする多彩な宗教人脈◎40 香川県の弘法伝説
【政治家】 「讃岐に大将なし」とはいうけれど……◎42 香川県出身政治家
【学 者】 学問で現実を直視する学者たち◎43 香川県出身学者
【遍 路】 遍路の功労者と「涅槃の道場」◎44 香川県の四国霊場MAP/香川県下の四国霊場八十八ヵ所
【産業功労者】 成功者が神として崇められるために◎46 香川県下の先覚者などを祀った神社
【ユニーク人材】 鬼面人を驚かす人もいる◎47 香川県出身ユニーク人材
【香川県誕生】 香川県になるまでの長い道のり◎48 香川県成立の流れ

第2章 香川の歴史文化さんぽ

【高松市】 讃州さぬきは高松様の城が見えます波の上◎50 高松城MAP/高松城の歴史
生駒氏のあとに来た黄門様の兄 高松歴代藩主◎52
転封のきっかけの生駒騒動/柳沢から返してもらった名刀◎53
日本三大名園に勝るとも劣らない「栗林公園」◎54
 栗林公園MAP/栗林公園と郷土玩具◎55
城下町商店街を覆う日本一のアーケード◎56
 高松中央商店街MAP/城下町出身の文豪◎57
屋島で楽しむ源平の歴史と美しい景観◎58
 屋島MAP/懐かしい民家を訪ねる◎59
合併で魅力拡大の高松市◎60 高松市MAP
先人の技がつくりあげた讃岐漆器◎61
讃岐国の中心地だったことを示す国府と国分寺◎62
行基がみつけた癒しの湯/円座と壇紙はかつての特産品◎63
花崗岩のダイヤモンドは芸術家の手で磨かれる◎64
「多年を保つ」から保多織/町ぐるみで盆栽づくり◎65
香川の桃太郎伝説/庵治の中心で、愛を叫ぶ◎66
神になった狸の大立者/寛政の三博士「柴野栗山」◎67
【東かがわ市】  海と産業を活かす町◎68 東かがわ市MAP
豪商の屋敷にタイムスリップ/人形が出迎えてくれる公園◎69
手袋を一大産業に育てた東かがわの偉人◎70
ハマチ養殖の発祥地・引田/薩摩の遍路が伝えた砂糖づくり◎71
【さぬき市】 お寺と海のあふれる魅力◎72 さぬき市MAP
遍路結願の寺・大窪寺/住民が植えて育てた松林◎73
志度の天狗小僧はエレキテルで鼻を高くした◎74
志度の海女が活躍する物語/日本一の桐下駄を残そう◎75
【三木町】 自然のなかでリラックス◎76 三木町MAP
この地に生きていた静御前/七色に輝くカップルの滝◎77
【小豆島】 オリーブと文学の島◎78 小豆島MAP
『二十四の瞳』の舞台を訪れる/放浪の俳人・尾崎放哉を訪ねる◎79
小豆島のオリーブ栽培は明治後期にはじまった◎80
世界一狭い海峡は小豆島にある/二百万年の時が刻んだ渓谷美◎81
【直島町】 島全体がアートスポット◎82 直島町MAP
アートは野に置く、海のそば/007は直島の番号◎83
【丸亀市】 歴史と文化の薫る町 ◎84 丸亀市MAP
法然が滞在した塩飽本島/塩原太助も寄進した灯籠◎85
丸亀城の「扇の勾配」の石垣は日本一の高さ◎86
 丸亀城MAP/丸亀城の歴史◎87
歴代の丸亀藩主をたどる/島の政治を司った塩飽勤番所◎88
歴史の節目で活躍した塩飽水軍◎89
駅前アート・猪熊弦一郎美術館/丸亀藩庭園・中津万象園の魅力◎90
左うちわのシェアを誇る/アナーキーな男・大杉栄◎91
【坂出市】 瀬戸大橋のたもとの町◎92 坂出市MAP
瀬戸大橋で香川は変わったか?/東山魁夷の美術館がある理由◎93
日本一の大天狗・崇徳上皇と西行の出会い◎94
塩田の恩人・久米通賢/陰陽五行にちなむ「五色台」◎95
【善通寺市】 空海と自衛隊と文化の町◎96 善通寺市MAP
空海が生まれた善通寺/乃木大将の妻返しの松◎97
【多度津町】 古くから交通の要衝地◎98 多度津町MAP
四国の鉄道発祥の地/多度津藩ができた理由◎99
【宇多津町】 塩から恋人たちの町へ◎100 宇多津町MAP
海辺にある恋人たちの場所/空に伸びる金色の塔が目印◎101
【まんのう町】 まんのうの自然を満喫◎102 まんのう町MAP
日本一のため池・満濃池/空を飛ぶ夢をいつも見ていた◎103
【琴平町】 琴平は金毘羅さんの町◎104 琴平町MAP
アートに彩られた金毘羅さん/日本一の高さを誇る燈籠◎105
金刀比羅宮MAP/金毘羅さんの石段◎106
金刀比羅宮の行事/犬も金比羅代参/五人百姓の秘密◎107
絢爛豪華な歌舞伎を間近でみる金丸座◎108
高杉晋作を救った侠客・日柳燕石◎109
【綾川町】 うどんのふるさと・綾川◎110 綾川町MAP
硬骨の男は「過激にして愛嬌」/菅原道真と法然にちなむ踊り◎111
【観音寺市】 銭形とちょうさは必見◎112 観音寺市MAP
観音寺市の価値を高める「寛永通宝」◎113
秋になると勇壮麗美な「ちょうさ」の出番◎114
讃岐三白のひとつ・ワタの町/俳諧の祖・山崎宗鑑の一夜庵◎115
【三豊市】 荘内半島の恵みを活かす◎116 三豊市MAP
浦島伝説の真偽やいかに?/死霊と対話できる弥谷寺◎117
未来への架け橋を夢みる/粟島で学ぶ海の生活◎118

第3章 香川食べつくし

【うどん】 讃岐うどんの作法を知る◎120
弘法大師が伝えたうどん/引き継がれてきたうどんDNA◎121
讃岐うどんの麺をつくる◎122
お年寄りは一番風呂でうどん/「半夏」と書く「はげうどん」◎123
讃岐うどん店特有のメニューを探る◎124
多種多彩なうどんメニュー/うどんを使った変わり種お菓子◎125
【魚料理】 食べるだけではあきたらず、尾までサワラを活かす◎126
サワラをカンカンにする/今なお残る「イカナゴ醤油」◎127
なぜか「カツオ」がつく魚/鯛もおいしい香川の海◎128
ご飯とともに炊きあがる「ちぬ」/イリコの旨味と栄養素を炊く◎129
「でんぶく」って何?/貝柱といえば「タイラギ」◎130
うどんの友はドジョウ/「てっぱい」の名前の謎◎131
【郷土料理】 あんもち雑煮には甘い愛情が込められている◎132
失敗は「しょうゆ豆」の母/親しみを込めて「けんちゃん」◎133
【小豆島の味】 島のそうめんは、太陽の味がする◎134
戦後生まれの小豆島佃煮/紀州で学んだ醤油づくり◎135
【ふるさとの味】 香川県が応援する「讃岐三畜」/独特の茶でつくられる「かゆ」◎136
いにしえの料理・イギス豆腐/陰陽五行の祈りを込めたお菓子◎137
【お店の味】 うどんに負けない名物「骨付鳥」/肝のすわったお好み焼き◎138
菊池寛は筆を細天に持ち替えた/屋島で味わうイイダコのおでん◎139
【お菓子】 名茶碗にちなむ上品な茶菓子/甘い灸なら、いつでも食べたい◎140
屋根には使えないせんべいの瓦/せんべいに住む瀬戸内の小魚◎141

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