フォトローグでつづる現代社会
IT社会の到来は、圧倒的な情報量や便利な暮らしを私たちにもたらしてくれた。しかし同時に、多くのものも失われてしまった。人と人のつながりは希薄になり、家族の間でさえも温かい関係が失われ、痛ましい事件も現実に起きている。
その解決の方策を見つけることができないまま、漠然とした不安の中にいる私たちに、一人のカメラマンがある方法を指し示してくれた。それは「写真」による自分自身の座標確認である。
一枚の写真が心にどんな作用を及ぼしたか、写真を撮ることで失意からいかに回復したか、彼自身の経験と写真が、静かに説得力をもって私たちに語りかけてくる。
また写真を生業とする現役カメラマンならではの視点で、カメラがデジタル化されたことによって何が起きたのか、業界の中で起きていること、一般社会に起きている現象を鋭く指摘する。 |