今からでも遅くない「減災への取り組み」
東日本大震災は、安全神話に眠る多くの日本人を目覚めさせました。
この国はとてつもない地震のエネルギーと気象エネルギーに取り囲まれており、特に西日本の太平洋側では、南海トラフ巨大地震への備えが待ったなしの状況にあります。
愛媛大学防災情報研究センターでは、発災直後の現地調査を行い、地質・地盤などの工学的分野に加え、史料・伝承など過去に起きた災害についての記録を分析するなど、様々なアプローチでの研究を進めており、本書では、その研究成果をとりまとめ、南海トラフ巨大地震への対策を提言しています。
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、安全神話に眠る日本人の多くを目覚めさせた。この国はとてつもない地震のエネルギーと気象エネルギーに取り囲まれており、この巨大な力の爆発から国民の命を守らなければならない。特に、西日本の太平洋側では、南海トラフ巨大地震の発生が待ったなしの状況にある。
愛媛大学防災情報研究センターは、社団法人四国建設弘済会からの寄付講座として、「東南海・南海地震研究部門」を2010年10月に設置した。そして、東南海・南海地震に備えて、「避難問題研究」、「自主防災研究」、「自治体業務継続計画研究」、「防災教育研究」、「防災GIS研究」の5つの研究課題について研究に着手した。その矢先、東日本大震災が発生。未曾有の巨大震災の発生を受け、防災情報研究センターの総力を挙げて、現地調査に、報告会開催に、防災対策研究に、防災啓発にと、この1年5カ月の間、走りに走ってきた。
その間、防災講演会などの場で多くの人と話す機会があり、意見交換を行う中で、東日本大震災と南海トラフ巨大地震に関する基礎的知識の不足が防災への取り組みを鈍らせていることを痛感させられた。巨大災害に立ち向かうための第一歩は、何よりも正しい知識をしっかりと持つことである。そこで、愛媛大学防災情報研究センターでは、東日本大震災と南海トラフ巨大地震に関して、一般の方にも理解できるような解説書を刊行することにした。内容は、東日本大震災の概要と教訓、南海トラフ巨大地震による四国の災害特性、そして南海トラフ巨大地震への備えである。
愛媛大学防災情報研究センター 矢田部龍一センター長による「まえがき」より抜粋 |