[萬翠荘物語]

萬翠荘物語
片上 雅仁
A5判・96P
¥1143+税

フランス・ルネッサンス様式の美しい洋館に秘められた数々の歴史ドラマ

 伊予松山は十五万石の城下町。緑豊かな城山の麓に、そこだけが別世界のように浮かんで見える萬翠荘という洋館は、優美で気品ある近代建築物である。高貴さを感じさせるこの館は、旧松山藩主家の久松定謨伯爵が、大正11年、摂政宮の松山行啓に合わせて建てたもの。その後、90年の星霜を経て、平成23年11月、国の重要文化財に指定された。
 本書は、建築物としての見どころだけでなく、久松定謨伯爵と、まわりにいた秋山好古、加藤拓川(正岡子規の叔父)など、激動の近代日本にあって大きな仕事を成し遂げた人たちとの人間関係をも描いている。
 また、建築家・木子七郎がこの建物にかけた意気込みなど、数々の意匠に込められた数多の歴史ドラマをひもとく。

 

カラーグラビア萬翠荘 想い出のアルバム
第1章 松山藩と久松系松平氏
 幕末の動乱と松山藩
 「朝敵」にされた松山藩
 藩閥への対抗意識 など
第2章 久松定謨とフランス
 定謨のフランス留学
 最初の随行員を務めた加藤拓川
 後任の随行員に秋山好古を指名
 それぞれの日露戦争 など
第3章「殿下の御宿泊にふさわしいものに…」
 設計を木子七郎に依頼
 摂政宮松山行啓の宿泊所に など
第4章 ルイ十六世式金ピカは……
 愛媛初、鉄筋コンクリート造りの本館
 室内装飾は相原雲楽
 木内真太郎渾身のステンドグラス
 ルイ十六世式金ピカは…… など
第5章 摂政宮の松山行啓
 いよいよ萬翠荘へ
 八木彩霞の二枚の壁画 など
第6章 愛松亭と愚陀仏庵
 漱石ゆかりの愛松亭跡
 愚陀仏庵での五十二日 など
第7章 ノブレス・オブリージュ
 久松定武が語る父・定謨
 晩年は郷里のために
 高貴なる者の義務 など
第8章 いま、新たなる文化創造の拠点として
 県指定文化財から、国の重要文化財へ  など

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