南松山病院の整形外科医で副院長の坂山憲史氏が、これまでさまざまなメディアに発表してきた随筆と未発表のものを1冊にまとめ、出版しました。
「慟哭」という題は、愛媛新聞のコラム「四季録」で発表した際、最も反響があった随筆のタイトルです。
坂山氏は大分県出身ですが、愛媛大学医学部に入学して以来30年以上にわたり、愛媛の人々と深く関わり「医師免許」を取るよりも先に「調理師」の免許を取りました。それよりも早くなったのは、「版画家」。中学時代から個展を開いてきた坂山氏は、体育会系の友人たちからもちょっと変わった人物として一目置かれてきたといいます。
坂山氏は愛媛県立中央病院、加戸病院、愛媛大学医学部附属病院などの勤務医時代はもちろん、南松山病院へ移ってからもさまざまな手術を行い、執刀した患者さんの数は約1万人にのぼるといいます。そのなかには著名なスポーツ選手もいれば、100歳を超えるおばあちゃん、難病を抱えた自閉症の少年、難治性のがん患者などもおり、ときにはテレビ局も取材に訪れるほどの〝ビックリ手術〟もしています。
本書は、そうした医師としての経験のほか、人生の途上で出会った、スポーツマン、武道家、ワインの専門家、俳優、芸術家、食通の方々など、幅広い分野の個性豊かな人たちとの交遊も披露されていて、エピソードがいっぱい。後輩たちから、「専務」「ジャイアン」とニックネームで呼ばれる、愛すべきキャラクターの素顔が全編を通して伝わってきます。 |