伝統を綴る

伝統を綴る

株式会社いよぎん地域経済研究センター
(アトラス出版制作)
四六判・220P
¥1,500+税

 戦後70年を過ぎ、日本経済はこの間、激動の歴史を経験してきた。
 立ち止まって生活を顧みると、「モノ」が豊かになった一方で、大量生産・大量消費社会の負の側面も目立つようになり、気が付けば、人口減少が地域を消滅させかねないところまで進んで、衰退ぶりが明らかになってきた。
 愛媛の地場産業に関しても、復活を遂げた産業がある一方で、衰退の道をたどらざるを得なかった産業も存在する。なかでも、ひときわ深刻な状況に立たされているのが愛媛の伝統産業で、今や産地崩壊の危機に直面しているといっても過言ではない。その背景には消費者の「和」の生活スタイル離れや、低価格品志向といった流れがあり、産業としての自立が保てなくなったことと、後継者の不在という問題が横たわっている。
 しかし、伝統産業をこのまま衰退させるようなことになれば、地域経済の崩壊は決定的になりかねない。なにより、時代の潮流が伝統産業・産品を再評価する方向に向かっている。「いいものを、より安く」から「高くても、いいものを」への転換で、チープな大量消費社会に背を向け始めている。
 日本の伝統産品は、海外でも十分高い評価を得ることができると言われている。いわば伝統産品は日本の宝、地域の宝ともいうべきもので、消滅させることは無論あってはならないし、その復活は地方創生にもつながる。
 こうした地域の伝統産業に対する理解を、まず愛媛県民に深めてもらいたい、という思いから、この「愛媛の伝統産業」は発行された。

 本書の特徴は、愛媛の生活や文化を形づくってきた数々の伝統産業がたどってきた歴史、詳細な作り方、なぜ衰退していったのかという産業を取り巻く概況、そして名工といわれる人たちの「生の声」が綴られている。方言丸出しの、訥々と語るその口調からは、伝統産業の置かれている苦境や、風前の灯火となっていることがひしひしとが感じられ、なんとか伝統の灯を絶やさないでほしいと願わずにはいられない。

伊予手すき和紙
太鼓台刺繍飾り幕
二六焼
水引・水引製品
伊予簀
西条だんじり彫刻
周桑手すき和紙
菊間瓦
桜井漆器
伊予かすリ
伊予竹工芸品
砥部焼
姫だるま
姫てまり
和釘
大洲和紙
桐下駄
下駄
棕櫚細工
高張提灯
筒描染製品
八幡浜かまぼこ
和傘
和ろうそく
宇和島牛鬼張り子
宇和島かまぼこ
節句鯉幟

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