戦後70年を過ぎ、日本経済はこの間、激動の歴史を経験してきた。
立ち止まって生活を顧みると、「モノ」が豊かになった一方で、大量生産・大量消費社会の負の側面も目立つようになり、気が付けば、人口減少が地域を消滅させかねないところまで進んで、衰退ぶりが明らかになってきた。
愛媛の地場産業に関しても、復活を遂げた産業がある一方で、衰退の道をたどらざるを得なかった産業も存在する。なかでも、ひときわ深刻な状況に立たされているのが愛媛の伝統産業で、今や産地崩壊の危機に直面しているといっても過言ではない。その背景には消費者の「和」の生活スタイル離れや、低価格品志向といった流れがあり、産業としての自立が保てなくなったことと、後継者の不在という問題が横たわっている。
しかし、伝統産業をこのまま衰退させるようなことになれば、地域経済の崩壊は決定的になりかねない。なにより、時代の潮流が伝統産業・産品を再評価する方向に向かっている。「いいものを、より安く」から「高くても、いいものを」への転換で、チープな大量消費社会に背を向け始めている。
日本の伝統産品は、海外でも十分高い評価を得ることができると言われている。いわば伝統産品は日本の宝、地域の宝ともいうべきもので、消滅させることは無論あってはならないし、その復活は地方創生にもつながる。
こうした地域の伝統産業に対する理解を、まず愛媛県民に深めてもらいたい、という思いから、この「愛媛の伝統産業」は発行された。 |