この本は2016年(平成28年)3月に韓国であった「第36回世界理容美容技術選手権大会」の、50歳以上を対象としたマスター部門で、「70歳はすぐ隣り」の私が金メダルを獲得した、その〝一大事件″を時系列で追ったものである。
そもそも、なぜ私がこの無謀ともいえる挑戟にあえてチャレンジしようと思ったのか? その理由は持論でもある「生涯現役論」を自らの行動で示すことにあった。
理美容という業(なりわい)は、技術を身につければ少ない資本で一国一城のオーナー(経営者)になれ、健康であれば70歳を過ぎても人々と触れ合え、現役で仕事が続けられる、実に素晴らしい職業である。日本の理美容の衛生的で高度な技術は世界に誇れるもので、さらに技を極めれば、オリンピック選手のように日の丸を背負って世界の舞台で戦うこともできる。このことを次世代を担うより多くの若者に知ってもらいたいと筆を執った次第である。
本書がより多くの人々の目に触れ、理美容を超えた日本の誇る高い技術を次の世代へつなぐ、一億給活躍社会を語るうえでの「ブルーカラー職種育成」に役立てばこれ以上の幸せはない。グローバル社会に生きる後輩たちが世界を目指す一助となればと願っている。 |