松山市(旧・中島町二神島)出身で、現在は大阪府吹田市に在住の水彩画家・井戸啓司(いど けいじ)氏が、水彩で愛媛の風景を描きました。
愛媛には変化に富んだ豊かな自然があり、海辺の風景、山の風景それぞれに独特の味わいがあります。
本書には、面河渓谷、四国カルスト、滑床渓谷、石鎚山といった自然のスケッチをはじめ、歴史的建造物、近代化遺産など、愛媛県人にはおなじみの風景が新鮮な感覚でとらえ直され、“絵になる風景”として紹介されています。松山での初個展に際して新たに描き下ろした作品も含め、50点余の愛媛の風景画を選んでまとめたものです。
「飛び抜けていい作品は現場から生まれるもの」。「風景はどのように水彩画らしく描くかがポイント」。氏はスケッチのため現場に立ったときの印象を、短い言葉ではありますが、このように書いています。自然の中や街中を歩いていて、どこで立ち止まるかでその絵が決まってしまうということのようで、松山市を中心とした都市の風景も、大洲市の古い町並みも、井戸氏の手にかかると、日常のなにげない観察からは得られない美しさが感じられます。
水彩画の指導者として、実際の絵をサンプルに水彩の技法を紹介しているページもあり、水彩画に対する興味も湧いてくる内容となっています。ぜひ、本書をめくりながら、愛媛の美しい風景の旅をお楽しみください。 |