写真集『石鎚山(いしづちやま)に抱かれて』

写真・文 一色龍太郎
判型 B5判フルカラー
ページ数 160ページ(写真収録点数190点)
¥2,500+税

石鎚山の生活風景をフィルムに刻む

写真家の一色氏は山歩きをする中で、苔蒸した道路の石積みや橋、トンネルといったものを見つけ、なぜここにこのようなものがあるのか興味を抱き、そこに住んでいた人に話を聞くようになった。またあちらこちらに点在する首なし地蔵から、この地を襲った廃仏毀釈の歴史を知った。産業の衰退や人口減で消滅していった村々には小さな石碑が残され、かつてここには、大勢の人が住む集落があったことが記されていた。今撮っておかなくては消えてしまう山の暮らし。写真家は廃村となった村々の歴史や言い伝えを「写真と文章の両方で伝えたい」と思うようになり、詳細な説明文を加えてつくったのが、この写真集である。
なお、表紙に使った鬼瓦の写真は、廃村の一つである下途中之川(しもとちのかわ)のお堂が崩れ落ち、土の中に埋もれてしまいそうな瓦が、まるで生きているかのように、何か物言いたげな顔をしていたことから思わずシャッターを切ったものだという。

石鎚山系の山間や麓で、多くの集落が過疎化の波にもまれながらも、人々が豊かな自然の中でたくましく静かに暮らしている。そして何百年も前から続く祭りなどの伝統行事を、村の人たちが維持し続けている所も多い。人が住まなくなった集落跡には、文字が刻まれた古い時代の石碑や、地蔵、石灯籠などがたくさん残っている。それらは先人たちが古くから長年にわたり少しずつ造り上げてきた民俗遺産である。そしてそれらの多くが人の目にふれることなく忘れられていき、土中に埋もれようとしている。
 私はそうしたものにもカメラを向け、撮り続けてきた。石鎚の山間に住む人の生活風景や自然風景、山間で見つけた有形無形の民俗遺産などを記録しようと、写真を撮り始めてかれこれ10年程になる。その間に押したシャッターの回数は5万回を超えた。これからも私のライフワークとして元気でいる限り撮り続けていくつもりだが、ここらで一旦区切りをつけて、石鎚山系の記録写真を整理して残すのが、この地域の近くに住む私の役目ではないだろうかと思い、写真集を作ることにした。

─あとがきより─

・はじめに
・西条市小松町石鎚(旧石鎚村)
郷/中村/谷ヶ内/土居/湯浪/途中之川/石貝/槌之川/大平/成藪
・西条市大保木(旧大保木村)
大保木/中奥/平野/東之川/西之川/前田/大桧/百合城/浦山/黒瀬/今宮
/河口
・石鎚登山(河口〜登山道〜頂上へ)
・西条市加茂(旧加茂村)
千町/李/下津池
・西条市市之川地区
・久万高原町(旧面河村)
市口/渋草/前組/土泥/大成/梅ヶ市
・東温市(旧川内町)滑川
・西条市丹原町(旧桜樹村)
鞍瀬/保井野/楠窪
・高知県いの町(旧本川村)
中野川/越裏門/寺川
・高知県仁淀川町(旧池川町)
椿山地区
・あとがき

1951年 西条市生まれ 石鎚山系や沖縄の離島などを中心に、人が暮らす暮らしの風景と自然を主なテーマに撮影を行っている。

現在 アールスタジオ・一色カメラ代表取締役

写真展
2010年 太陽の沖縄 東京 ペンタックスギャラリー
2015年 太陽の沖縄 西条市 ひうちギャラリー
2016年 石鎚山に抱かれて 東京 リコーイメージングギャラリー新宿
2018年 四国石鎚山里物語 東京 リコーイメージングギャラリー新宿
2018年 四国石鎚山里物語 大阪 リコーイメージングギャラリー大阪
2018年 モノクロの昭和 今治 河野美術館
2019年 沖縄・旅の記憶 今治 朝倉ふるさと美術古墳館

受賞
1979年 公益社団法人日本広告写真家協会展 奨励賞
1991年 公益社団法人日本写真家協会展 優秀賞
2019年 公益社団法人日本広告写真家協会展 奨励賞 他

所属
一般社団法人 二科会写真部会員
一般社団法人 日本写真作家協会会員
一般社団法人 日本写真文化協会会員
一般財団法人 全日本剣道連盟会員(錬士七段)

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