絵画を愛する一ファンが、独自の視点で綴る
本のタイトルに「私の」ということばが入っているのは、著者・檜垣政司氏が美術の専門家ではなく、こよなく絵画を愛する一ファンだから、ということと、大きな日本の歴史をとらえた上で、絵画がなぜ登場し、どのように変遷してきたかという理由や必然性を、著者独自の視点で捉えているためです。
たとえば、宗教的絵画は一般庶民の信仰心を高めるために登場し、さらに理解を深めさせるために長い絵巻になっていきました。また、時の権力者はその力を誇示するため、絢爛豪華な絵を絵師に描かせ、装飾性の高い美しい日本画へと発展していきました。そして近代以降の西欧から入ってきた油絵は、写実性を超え、〝画家の心を表現していくもの〟へと大きく変わっていきます。
本書は、著者がすべて、その絵が収蔵されている施設(美術館、博物館、寺院など)に足を運び、実際に自分の目で見た印象をもとに書いています。
近年の画家については、著作権保護のため、絵そのものは掲載していませんが、その生い立ちや絵に懸けた思いが書かれており、それを知るだけでも、ひとつの物語を読むように楽しめます。 |