7月28日(日)
 暑い!!
 暑いと仕事をする気が失せてくる。しかも夏バテである。こんなに暑い日が続くのは、久しぶりではないか? アップが遅くなり、文章が短くなったのも夏のせいであるとお考えいただきたい。カフカか、どこかの国のように、自分の責任を転化したくなるのは、夏のせいか。
 株式会社ウエザーニューズが行なった全国約20000人の調査によると、四国エリアの夏バテ率は69%で全国一、しかも愛媛県は最も暑さに弱いという結果が出た。夏バテ率とは、調査の選択肢で「もうバテた」「そろそろバテた」という回答を併せたものであるという。
 そこで今週の川柳は、暑さを感じる句を集めた。
心頭を滅却してもまだ暑い
7月29日(月)
 暑いときのセミの声は、いらいらしている気分を更にヒートアップさせる。セミの声が何層にも重なって聞こえると、暑さが増してくるように感じる。木の近くによると、セミが一斉に泣き声を上げて飛び立つと、汗がさらに流れて行くようだ。
 我が家は、いちおう町の中にあるのだが、柿の木にセミが群がって鳴いている。特に癇に障るのはアブラゼミである。「じーじー」と低く響く声は、暑苦しい。ミンミンゼミやヒグラシなら、いくらかは涼しい感じがする。
 芭蕉の「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」は、渓流に聞こえるセミの声を描写したもので、暑い夏ながらも渓流の木陰に休む姿が想像されるが、部屋にまで響くセミの五重奏となると、暑苦しいことこの上もない。
セミ鳴きの響く小部屋の蒸し暑さ
7月30日(火)
 鍋好きにいわせると、夏の鍋こそ最高だという。暑い部屋で鍋を囲んで汗をかきながら、鍋に向かうと、食べたあとに爽やかな汗が溢れ出るというのだ。
 クーラーをびんびんに効かせて、キムチ鍋というのは、おいしい。きんきんに冷えたビールを、辛みの入った口の中に流し込むのは、ピールの美味しさを際立たせてくれるとも思う。
 しかし、食べたあとのことを考えると、少しばかり躊躇する。肉や脂、ニンニクの匂いが部屋に染み着き、しばらく取れない。鍋と食器の後片付けも大変だ。汗をかきながら、食器にこびりついた脂を洗剤で落さなければならない。
 かくして、夏の鍋は計画倒れに終るのである。
鍋焼きのダシに落ちいる汗の味
7月31日(水)
 我が家のペットは、「リキ」という黒いポメラニアンの雑種である。毛がふさふさしているので、夏は苦手だ。散歩の途中でも日陰を探し、ひどいときには道に座り込んで、車の迎えを要求する。ともかく、涼しい場所をこよなく愛している。
 そのため、余所と較べても早い時期に我が家ではエアコンをつける。温度が高くなると「リキ」は「はあはあ」と聞こえるようにため息をつき、スイッチをせがむ。耳元で囁くように「はあはあ」といい続けるのである。室温が26°にならないと、とてもうるさい。こちらも根負けしてエアコンをつけるのだ。「リキ」のために、夏の我が家の家計は低い室内と裏腹に、赤く燃えるのである。
 「リキ」の写真を掲げておく。くまもん風「リキ」である。
クーラーの温度をペットのせいにする
8月1日(木)

 高校時代、我が校は甲子園の常連校だった。徳丸、矢野の頭脳派ピッチャーを擁し、打線もなかなかにしぶとかった。今ならば「しまなみ打線」とでもいわれていただろう。最近は初戦敗退が多いので、とても残念だ。出場が決まると、高校への寄附願いのハガキが来るが、嫁さんが有無をいわさず破り捨ててしまう。
 甲子園にも何度か行った。夏の甲子園は日差しがきつい。シャツが汗ですぐにべたついてしまう。私たちの頃は、前日にフェリーで出発し、バスで甲子園に向かい、試合が終わると、帰路につく。試合のたびに招集がかかるのである。
 甲子園名物のかちわりを頼んだのは、大学のときである。高校時代は、試合が終わるとすぐに帰ってしまうし、試合の際には先生方の目がうるさい。試合の興奮は、バスに乗って窓からの風で冷やすのである。

負け試合頭を冷やすかち氷
8月2日(金)
 うちの嫁さんは西瓜好きである。夏になると、愛媛県の各地産直市に出かけて、西瓜の品定めをする。内子で仕事があったときは、打合わせの前に「からり」で西瓜を買って、仕事をしていた。盆が過ぎると、国道56号沿いの伊予市中山あたりでは、山西瓜の店が並ぶ。3個で1000円ということも過去にあり、夏の終わりが近づくと、中山まで出かけるのである。
 西瓜の見分け方は、西瓜を叩いていい音がしたら買えといわれるが、その方法だと棚落ちした西瓜を選んでしまう可能性もある。嫁さんにいわせると、蔓と裏の色が新鮮な西瓜を見分ける方法だという。西瓜は、何日も店頭に置かれる可能性が高い。古い西瓜は、蔓がまず傷むので、蔓がそのまま残っているものが新鮮だという。
棚落ちの西瓜の端をつまみ喰い
8月3日(土)

 今治は、近年、かき氷でも有名になった。登泉堂の「いちごミルク」と玉屋の「ミルクセーキ」である。登泉堂の「いちごミルク」は、たっぷりの自家製いちごペーストを使った絶品、玉屋の「ミルクセーキ」は、卵と練乳の入ったきめの細かい氷が郷愁を誘う。
 夜の止まり木でも、氷を使ったカクテルの美味しい店がある。松本町にある「ジェームス」の「フローズン・ダイキリ」である。フルーツとダイキリが混じりあった味は、ぜひとも味わっていただきたい。各地で「フローズン・ダイキリ」を飲んだが、この店に勝る味を体験したことがない。
 ただし、手間がかかるため、店が混んでいるときは注文できないことがあるので、あたりの雰囲気を確かめながら注文してもらいたい。

酒よりも氷を楽しむ夏のバー
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