[所在地]愛媛県新居浜市〜西条市
[登山日]1996.4.6〜4.7
[参加数]3人
[概要]新居浜市と西条市の境界をなす大きな山、黒森。今回は大野山から傾山を経て頂上に至る尾根沿いのル−トを用いた。大生院正法寺が往年、笹ヶ峰参拝に用いていた信仰の道である。とはいうものの人の絶えた傾山周辺は藪が覆いかなりの難ル−トである。稜線をはずさないようにひたすらアップダウンを繰り返すが、傾山の南面は断崖で特に注意が必要である。1507mの小ピ−ク付近の”堂ヶ成”と呼ばれる場所には、2体の蔵王権現像が祀られている。不思議な逸話を持つが、くわしくは安森 滋氏の「親子三代笹ヶ峰物語」を見られたい。黒森山から沓掛山を登り返すと丸山荘はすぐそこだ。疲れ切って玄関にはいるとクロが出迎えてくれる。
[コ−スタイム]
4/6 大野山デポ(5:50)―杖立(7:00)―窓(7:20)―傾山(10:08)―
―堂ヶ成(12:15)―…昼食…―黒森山(14:20)―沓掛山(15:45)
―丸山荘(17:20)
4/7 丸山荘発(7:00)―笹ヶ峰(8:10)―寒風山(10:00)―桑瀬峠…昼食…
―寒風山トンネル(12:35)
[登山手記]病院から朝な夕な仰いでいる、雄大な裏山である黒森山。正法寺のご住職や丸山荘の伊藤ご夫妻のお話を聞いてから計画しました。「もう、道がないのでおやめなさい。」と忠告もされましたが、天気もなんとか持ちこたえてくれて、完登することができました。登山道は、大野山の廃村を過ぎ新しい林道を西に少し行った鉄塔付近の尾根に付いています。しばらくゆくと道は途絶えてしまいますので、斜面を直登するしかありません。標識類はまったくありません。一番、問題部分は、やはり傾山周辺です。細尾根の両側は深く切れ落ち、そのうえ藪が覆っているので視界が取れないと危険です。”堂ヶ成”への登りも道らしきものはなく、適当に直登してゆきます。この付近は宿に向かうと思われる横掛け道の痕跡がありますが、行き過ぎると黒森山を捲いてしまいます。春先で視野がなんとかとれましたが、夏場は困難を極めるでしょう。”堂ヶ成”の石仏は感動的。藪の中でほとんどお参りにくる人はなさそうですが、静かに石鎚に向かって佇んでおられます。丸山荘にも、そのきれいな写真が掲げられているので、ぜひご覧になってください。黒森山は第一ピ−クから第三ピ−クまでアップダウンの激しい山ですが、頂上からの東の展望は素晴らしい。大永山トンネルが正面に見えます。沓掛山の最後の登りは本当に苦しいですが、そこからの眺めは天下一品です。丸山荘に一泊して次の日、寒風山トンネルまで縦走しました。”遂に成功したぞ!”と叫びたい満足感でお互い完登を喜び合いました。