笹ヶ峰(新宮)〜橡尾山

[所在地]愛媛県宇摩郡新宮村

[登山日]1996.6.8

[参加数]4人

[概要]新宮よりの旧道を車で進むと、高知自動車道 笹ヶ峰トンネルの脇に潰れかけた小屋が見え、駐車スペ−スがある。ここが登山口で、新緑のしっかりした道を登り切ると”水無峠”に出られる。”七曲がり””杖立地蔵”を過ぎると笹ヶ峰頂上である。さて、橡尾山へは、西に続く踏み跡を辿るがすぐにスズタケの繁る灌木帯に突入する。南斜面は切り立った急斜面で北側を捲いてゆく。けもの道程度は認められるが広尾根で方向を間違わないようにしたい。コルからは岩場の混じる斜面で次第に急になってくる。ときどき赤テ−プがあるがあてにはならない。これを登り切ると一面、背丈を超すスズタケの海が待ちかまえている。泳ぐように進むと橡尾山頂上付近に飛び出すが、最後まで気を抜いてはならない。

[コ−スタイム]

 登山口(7:30)―水無峠(8:40)…一度、笠取峠に引き返す…笹ヶ峰(10:10)

   ―橡尾山(15:00)―橡尾山登山口(16:30)

[登山手記]前に笹ヶ峰に登ったとき、西に下ってゆく踏み跡が気になっていました。あれは、橡尾山への縦走路ではないかしら?それを確かめるべく今回の登山を計画しました。水無峠までは順調でしたが、笠取峠へ”犬の墓”を見に取って返したのは貴重な時間を無駄にしてしまいました。(犬の墓も結局見つかりませんでした)10:00笹ヶ峰着。ここからが今日の登山の出発点です。踏み跡は5,6分も進むとスズタケのなかで消え、期待は大きく裏切られました。広いバカ尾根で方向を間違わないようにコンパス走行しましたが、次第にはっきりした尾根線に収斂してきました。尾根上は風雨が強くスズタケがつまっているので、ほとんど北側を捲いて進みました。雨の中にそそり立つ黒い岩がとても不気味で、引き返したい衝動に駆られましたがもう、その余力はありませんでした。窪地で遅いヤキソバの昼食をとり、次第に急になってくる斜面に、近づく頂上への期待が膨らみました。岩場を直登し、視界が明るくなったので頂上かと前を見ると、そこにはスズタケのものすごい海が拡がっています。背丈以上で前が全然見えません。2,3歩遅れるとまえの人間も消えてしまいます。歩くというよりは泳ぐといった感じで、もう泣きたい気持ちでした。何度も何度も高度計を見るのですがまったく変化しません。地図をみると橡尾山の東側に張り出した長い緩斜面が認められますが、ここを縦断しなければならなかったので思ったより時間がかかったわけです。もう、最後はイノシシと同じでしゃにむにヤブコギを続けるだけでした。頂上付近の小道に出たときは本当に救われた気持ちでした。そして、ただ茫然として下山してゆきました。