[所在地]愛媛県西条市〜高知県本川村
[登山日]1998.5.5
[参加数]5人
[概要]寒風山トンネルから桑瀬峠を経て寒風山、笹ヶ峰と縦走し、平家平への縦走路途中から一ノ谷にくだるコ−ス。この時期、アケボノツツジやシャクナゲが見頃である。天気がよければ笹原の大展望がひらけるが、あいにく風雨が強く、すべてはガスの彼方であった。道はしっかりしているが、一ノ谷への分岐(一の谷越ではない。「山と高原地図」石鎚山参照)は、自然保護の標識に結びつけられている、字も消えかかった小さな木標(かすかに「一ノ谷へ」と読める)だけである。わずかな踏み跡と赤テ−プのみが頼りで、しっかりしたル−トファインデングを要する。初めての方は特に要注意!
[コ−スタイム]
寒風山トンネル(8:15) ― 桑瀬峠(9:00) ― 寒風山(10:15) ―
― 笹ヶ峰(11:45) ― 乳山別れ(12:55) ― 一ノ谷分岐(13:00)
― …昼食… ― 一ノ谷館(15:45)
[登山手記]前日の天気予報とは異なり、登りはじめから雨まじりの憂鬱な天気でした。視界は一日中まったく無く、せっかくのル−トが台無しでした。「もうやめて、帰ろう。」と言いたかったのですが、男性軍に強行派がいて、とても言い出すことはできずに黙々とついてゆきました。桑瀬峠で引き返すパ−ティを尻目に「今日は絶好の登山日和だ。」とうそぶく男性軍に「こいつらバカか。」と思いつつも黙々とついてゆくしかありませんでした。それでも雨の中にむせぶように咲くアケボノツツジの美しさは例えようもなく、まるで私のようだと密かにほくそ笑みました。寒風山も4回目です。一回目は大雪で、車が埋まって遭難寸前の状態で寒風山トンネル事務所に助けを求めました。4年前のことです。2回目は春ののどかな日でした。3回目は黒森山からの縦走で、早春の冷たい雨が降っていました。そして今日。こうして思うと、視界はなくても、とても愛しくてキスしてあげたい衝動にかられました。男性軍は、と見るとそんな感慨もないのか、ボ−とタバコを吹かしています。さて、笹ヶ峰へは尾根上の一本道で、しばらく緩やかな下降のあと、笹の斜面を登り返します。頂上は思ったより風雨が強くとても寒く身の置き所が無いほどでした。そんな中で、般若心経を唱えて一心にお参りしている一会員には、ただ唖然でした。寒いので、休憩もそこそこで乳山に向かって進みました。途中、丸山荘にゆく、という登山者に出会って、お互いご苦労なことですと慰め合いました。乳山別れもまったくのガス。一ノ谷の分岐はすぐそこです。通り過ぎないように注意しながら進みます。笹原と低い灌木の混じる平坦地に、ちいさな標識(指導標ではない)があって、ここより右の斜面を下りてゆきますが、視界がないだけに緊張します。赤テ−プがところどころあって、注意しながらゆっくりと進みますが、沢がときどき下っていて、道と間違わないようにしなければなりません。よくみるとかならずわずかな踏み跡が辿れますので、あせらないことが肝要です。このときは、ちょっぴり男性軍が頼もしく感じました。樹林帯にはいると、次第にしっかりした山道となって、あとはもうひたすら下るだけです。沢筋に出て、壊れかけた張り板がおぼつかない長い水平道が、尾根を回りながらどこまでも続きます。ガレ場を通り過ぎ植林のなかを下りきると一気に「一ノ谷館」に飛び出します。すぐにお風呂にはいって、疲れをいやしました。この時、はじめてやっぱり来て良かったな、とつくづく思いました。