野鹿池山〜黒滝山

[所在地]徳島県山城町〜高知県大豊町

[登山日]1998年5月23日

[参加数]5人

[概要]アルペンガイド「中国、四国の山」に記されている、そのままのコ−スだが、迷う場所が2カ所ある。(「登山手記」参照)。上名保育所前に車デポした場合、野鹿池山荘上の登山口まで車道歩きが結構長い。野鹿池山上広場からの予阿国境の山並みは素晴らしく、遙か翠波高原のお花畑まで確認できる。広場のログハウスは圧巻。山城町の力の入れ方が感じられる。野鹿池山から黒滝山は、阿土国境稜線の一本道。快適な縦走コ−スだが、鉄塔への下りはガレ場混じりの急降下である。はるばる辿り着いた黒滝山も伐採の爪痕が、あまりに痛々しく、懐かしい遙かな梶ヶ森が唯一の心の慰めとなる。

 

[コ−スタイム]

 上名保育所(7:20) ― 野鹿池山登山口(8:40) ― 山上広場(11:00)

・・昼食・・ 野鹿池山(12:30) ― 鉄塔(13:40) ― 黒滝山(14:45)

 ― 羽瀬民家(16:40) ― 上名保育所(17:35)

 

[登山手記]お天気もよく、野鹿池山登山口までは、ワイワイ言いながらのんびりと歩きました。鳥居があって、道もしっかりしているので、安心して登り始めました。5,6分も登ると林道に飛び出しますが、向かいの斜面に踏み跡があるので、これを進むと道はすぐに不明瞭になってしまいました。強引に斜面を直登してみても荒れた植林の中で、道らしいものはありません。「え〜、なんで!」と全員愕然です。もう一度、登山口に戻ってみようとの意見もありましたが、落ち着いてよく周囲を見渡すと、左手の木々の間がやや広く開いていて、道のようにみえるので、藪を強引に横掛けしてゆくと、果たしてそこには沢があって立派な登山道が左岸に続いています。ヤレヤレです。ここは、林道をそのまま左手に進んで、沢に出会ってからその左岸を進んだほうが良いと思います。簡単な指導標が必要ではないでしょうか?あとは、野鹿池山山頂まで、しっかりした一本道です。沢筋から尾根の一角に取り付き、ほとんど一直線の山道を喘ぎながら登り切ると営林署小屋前の林道に出ます。ガイドブックでは、水場のマ−クがあってわれわれも期待していたのですが、それらしいものはありませんでした。伐採の影響で水が枯れてしまったのでしょうか?ふたたび山道を登り、2回ほど林道を串刺しにして進むと、思いがけない立派なログハウスが現れ、展望のよい広場になっています。塩塚峰や三傍示山を眺めながら、おうどんの昼食をとりました。ここにも水場はないようでしたので、水の持参は必要だと思います。ここから野鹿池までは遊歩道と石段が整備され快適です。木道はかなり傷んでいて踏み抜かないようにしながら行くと、龍の彫り物が見事な祠が祀られ、シャクナゲが数輪、可憐に咲いていました。水はほとんどなく、伐採による保水力低下は深刻のようです。シャクナゲの移植がなされているようですが、ブナなどの自然林回復こそが本質的な解決法だと思われました。

 さて、黒滝山への縦走は、東峰からはじめます。踏み跡はしっかりしていて何の問題もありませんが、黒滝山は遙か遠くに感じます。「あれが黒滝山だ。」と教えられたとき「え〜、ウソだろ〜!」と思わず叫んでしまいました。しかし、泣き言をいっても始まらないので一歩一歩進んでゆきました。中間の鉄塔までは割と自然林がみられましたが、鉄塔から黒滝山までは凄まじい伐採の嵐が稜線まで達しています。稜線に残るツタに覆われたブナの大木がかわいそうで、やさしくなでてやりました。因果応報の言葉通りに、報いはかならず私達に戻ってくることでしょう。黒滝山も、ほとんど禿げ山でしたが、南側の展望は最高で、しばらく無言で梶ヶ森の山並みを眺めていました。小休止のあと、平への下山路を探しますがよくわかりません。とりあえず、伐採地の中腹に見える小屋までいこうということになり、茨の繁る斜面を適当に下りてゆくと、モノレ−ル軌道に突き当たります。これに沿って小道があり150mほど急下降すると植林地のなかに突入します。林にはいってすぐ、右手に下りてゆく踏み跡がありますが、これが正しい下山道です。ここは、指導標やテ−プなど一切ないので注意が必要です。モノレ−ルに沿ってなおも進むと植林の中に水場がありますが、そこまでいってしまうと行き過ぎです。初めての方はくれぐれも注意してください。この先、モノレ−ル軌道がどうなってゆくのかは確認していません。縦走の疲れと迫り来る夕闇の中で道を見失うとパニックになります。正しい道を進むと次第にしっかりした山道となりジグザグを繰り返しながら沢筋にでて、あっという間に羽瀬部落の民家の庭先に飛び出します。あとは、1時間ほど車道歩きをして上名保育所前に帰ってきました。途中で食べた、キイチゴやノイチゴのおいしかったこと。お天気にも恵まれ、自然保護の大切さを考えさせられる本当に楽しい、有意義な登山でした。