二軒茶屋

[所在地]香川県財田町〜徳島県池田町

[登山日]1998年6月13日

[参加数]4人

 [概要]分県登山ガイド「香川県」に記されているコ−ス。出発点はJR財田駅、終着点は箸蔵寺である。二軒茶屋までは、「四国のみち」に指定されているハイキングコ−スで要所には道標が設置されていてまったく問題ない。道も「箸蔵街道」として往年賑わった旧街道でしっかりしている。中間点の二軒茶屋には、新しい山荘があるが施錠されていたのは残念。ここは観音寺方面の展望が良い。あとは箸蔵まで林道風の水平道がうんざりするほど続き、一気に箸蔵寺境内に飛び出す。巨大な本殿は圧巻で、大きな天狗が我々をにらみつけている。

 

[コ−スタイム](箸蔵駅〜財田駅間はJR利用)

 財田駅(8:50) ― 展望所(10:20) ― 峠(10:58) ―

  二軒茶屋(11:36)・・昼食・・ 発(12:25) ― 箸蔵寺(14:15)

 

[登山手記]「あ〜。また雨。梅雨で、あまり期待はしていなかったけど、ちょっとぐらい予想をうらぎってくれればよいのにねぇ。真正直にドシャブリの雨を降らすんだから、もぉ。本当にイヤんなっちゃうよ。」ブツブツ言いながら、「はしくら」8:11発の琴平行鈍行列車に飛び乗りました。途中の「つぼじり」駅は、全国で数少ないスイッチバック方式の駅で”鉄ちゃん”必見の名所だそうです。私たちをジロジロ物好きそうに眺めていたおばさんが、親切に教えてくれました。30分ほどで「さいた」駅に到着して、登山開始です。駅をでて線路沿いに右手に進むと、早くも「四国のみち」の立派な道標があって、私たちを山へと誘ってくれます。登山口にはおおきな説明板があって、「箸蔵街道」の概要を知ることができます。ここを過ぎるといきなり斜面ジグザグの急登です。雨具を着ていると蒸し暑くてやりきれません。低山だとバカにしていると思わぬスタミナを消耗してしまいそうです。ベンチを通過してしばらくゆくと、道はいったん緩くなり、展望所に到着します。道から30mほど離れたところに東屋があって、遠く讃岐富士を望むことができました。さて、ここからは「峠」まで結構、急登です。木の階段などが整備され時間的には20分程度ですが,展望のない暗い単調な登りは長く感じます。登り切ったところが、すなわち「峠」で、指導標とともに「六十五丁」の丁石と少し離れてお地蔵様が祀られています。ビスコをお供えして道中安全を祈願してから出発です。二軒茶屋までは、緩やかな下りとなっていままでとはうって変わって楽ですが、なお30分ほどかかりました。視界が明るくなると立派な新しい山荘風の小屋が現れ、二軒茶屋に到着です。古い茶屋は跡形もありませんが、説明板で往時の様子を忍ぶことができます。山荘には鍵がかかっていましたので、仕方なく建物の陰で昼食を摂りました。風雨が強く周囲の篠竹のきしむ音が不気味でしたが、食事を終わる頃には風も凪いで、空も明るくなってきました。西を望むと、なんと観音寺方面の展望がすこぶる良好で、山の中ばかりだと思っていたのにとても以外でした。昔の旅人も、同じように腰を下ろして遠く瀬戸内海を見ながらホッと一息ついたことでしょう。

 二軒茶屋から箸蔵寺までは、長い長い林道歩きに終始しますが、途中の伐採された西側斜面から国道32号線や山腹の集落を見下ろすことができます。「馬除」はうら悲しい廃村で、いまだ住人の臭いを感ずることができます。こことは対照的な閑静な「舟原」集落に辿り着くとお寺までワンピッチ。あっという間に箸蔵寺客殿前に到着。14:15でした。箸蔵寺は、本当に立派なお寺で長い石段を登って、ゆっくりとお参りしました。ここのご本尊(金比羅大権現像)はまったくの秘仏で歴代住職でさえ見た人はいないそうです。また、お山の木一本伐っても山全体が騒がしくなって荒れるそうで、私たちも神罰を受けないよう必死でお参りしました。あとは「はしくら」駅まで歩いて下りました。仁王門からまっすぐ下るところを、左手の舗装道路を進んでしまったために少々遠回りしてしまいましたが、16時前に無事、国道32号線まで戻ってきました。国道脇に残る古い立派な石段と大木が、往年のにぎわいを物語っていて、とても印象的でした。