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電車内で・・・ 「まもなく電車が発車します」

H28年卒 西田彪庫


 楽団の練習が終わり、22時を過ぎても満員の電車の中で、立ったまま、今までの3ヶ月について振り返っていた。
 「愛媛県出身の西田彪庫と言います。愛媛県出身のひょうごなので、ものすごくややこしいですが、なにとぞよろしく。まあ、それで兵庫県に来たわけじゃないけど。あっ、トロンボーンを9年やってます!」
自己紹介から始まった兵庫県での暮らし。この自己紹介を何十回もした。
 まず最初に会ったのは、下宿先のお隣の男の子。なんとその子も私と同じ9年間、合唱をしていたという。なんて奇遇なんだ!その子と、音楽の話で1時間ほど盛り上がった。
 次に会ったのは、入学式のときに隣だった男の子。その子は、甲子園の常連校でトロンボーンをしていたよう。甲子園といえば・・・あの時は大変だった。でも、みんなで心を一つにして必死に吹いた音、勝利の校歌を熱唱し響きわたる声。ああ、懐かしい・・・と少し、故郷に残るはかない思い出に浸った。まあ、その大舞台も目と鼻の先にあるが。
 その子の紹介で、箕面市にある楽団に入団した。周りに上手い人が多い中、一人周りとの合わせやすさに感動を覚えた。全然知らない人たちの中での合奏なのに。さらに、都道府県をまたぐのに、300円で行ける、電車代の安さにも、たまげた。
 これから、厳しい夏が始まる。今年の夏は特に、ラニーニャでより暑くなるらしい。新参者ではあるが大会メンバーなので、忙しくなるであろう。そういえば、後輩たちはコンクールに向けて燃えているだろうか。暑い夏に負けないくらい熱く燃えていただきたい。
 「まもなく到着いたします。降り口は左です・・・」
あっ、もうすぐ下りなければ。まあ、明日も頑張るか。









  

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